『笑って!外村さん』とまんがタイムスペシャルのラインナップから考える4コマ誌

笑って!外村さん(1) (まんがタイムコミックス)

笑って!外村さん(1) (まんがタイムコミックス)

笑って!外村さん』は漫画のテーマ的には「不良と思われ誤解される女の子が周りに受け入れられる過程」を描く4コマ漫画です。きららで連載されていた『ぐーぱん!』もそうですし、よくある題材の漫画です。おそらく4コマ漫画に限っても同テーマの漫画があるのではないでしょうか。
私だけかもしれませんが、漫画を読んでいてあまり笑うことはありません。ですが、この外村さんの場合は何度も声をだして笑いました。『外村さん』が面白く、魅力的な理由は一般的な漫画にありがちな「いい話感」が薄いのでフラストレーションが溜まらないこと、それから外村さんが突き抜けすぎていることでしょう。
外村さんは可愛いけど、可愛く書かれすぎない、デフォルメされてない可愛さです。萌え系の4コマだとそのギャップが上手く表現されないことでテーマがボヤけてしまうことがあります。その「怖い表情」と「本当の笑顔」という一定の距離感を保てているのが外村さんの面白い部分です。「心配するな、問題ない。俺たちは外村さんの味方だ!!」と。
久々に万人受けできるようなギャグ4コマが生まれたと思います。どうしても、最近のファミリー向け4コマで「面白い!!」という作品は設定がキワモノだった印象があるので。ええ、ひよわーるどとかひよわーるどとかひよわーるどとか。
少し思うのは、1巻分も消化するのにまったく話が展開しないのに(いや、展開したら終わってしまうのだけど)ちょっとやきもきしますね。どうでもいいですが、絵の雰囲気から『B型H系』を想像してしまうのは私だけでしょうか。私だけですね。


外村さんはファミリー誌で連載されている漫画ですが、最近の「まんがタイムスペシャル」という雑誌はとにかくカオスです。ファミリー誌という枠で語っていいのか分かりません。ファミリー系でお馴染みの作家さんを残しつつ他誌で活躍するような作家さんが充実している。こんな雑誌は他にありません。
例えば『まじかるストロベリィ』でお馴染みのまつもと剛志さん、『恋愛ラボ』等複数雑誌で活躍する宮原るりさん。4コマ界屈指の実力派樹るうさん。きららからファミリー誌まで活躍するおおた綾乃さん、岬下部せすなさん。そしてカラスヤサトシ。今一番面白い4コマ誌といっても過言はないと思います。
やはり芳文社の4コマ誌というのは凄いバランスが良いんです。竹はファミリーは強いけど、萌えレーベルにはイマイチ踏み込めない。一迅社はファミリー4コマに着手しない。そう思うと萌え4コマ誌を作り、それだけで満足せずファミリーと融合した雑誌を作り続ける芳文社は凄まじいです。
まんがタイムラブリー』のリニューアルといい、現状だけでは4コマ雑誌は生き残れない現状にあります。それはつねに新しい血を入れ、アニメ化作品を育てる(勿論、アニメ化はステップの一つに過ぎませんが)きららレーベルも変わらないでしょう。4コマ誌の在り方が今後変わっていって淘汰されていくことでしょね。さて、どうなるのでしょう。


余談。
ナタリーではけいおん!芳文社と説明されていますがこの漫画は芳文社ですが、きららレーベルではありません。まぁ、タイムレーベルなので間違ってはいないですが、現状を思えばきららレーベルとタイムレーベルは別物に考えるべきでしょうから。
ナタリーで取り上げられた一部の記事は、なんでこの作品が?的な物も時々ありますし、「この漫画は凄いんですよ!」と思わせる提灯記事です。4コマというジャンルはスポットが当る場面が少ないため、ナタリーのような大手サイトが取り上げるのは知名度が大きく上がるので歓迎するべきことです。ファミリー系4コマはもっと注目されるべきなんでいいぞもっとやれ。