何故きららCaratの看板作品の一つ『nino/まじん☆プラナ』はアニメ化されなかったのか考えてみる

そろそろ12月ですね。うん。知ってる。あれですね、あれ。個人的な近況としてはよくライブ行ってます。今月から来月にかけて結構現場に行けそうなんで楽しみです。


今回は先日(つっても、結構前ですが)最終巻が発売された『まじん★プラナ』を語りたいと思います。

幼なじみからおかんまで、バリエーション豊かすぎるヒロインたちとのドキドキイベント満載な本作もついに完結。はたしてランプの魔人プラナは3つの願い事を叶えてくれるのか!? もちろん新ヒロインも続々登場、フラグが立つのが止まりません!

『まじん★プラナ』すごいいい作品なんですけど、はっきりいって知名度低いですよね。なんでこんないい作品が知名度低いのかしら。だから語ります。「おまえらー!! 私が語らないでどうするんだー!!」というプロレス的な感じで。このサイトの信条はプロレスイズムでできてます。



名作4コマに花束を
4巻で無事完結となった『まじん☆プラナ』はninoさんのポップで高い画力と80年代チックなギャグのノリが融合されている非常に完成度の高い作品でした。魔人、雪女、獣耳、アンドロイド、人魚、妖怪…人外を可愛らしい女の子として昇華させた"人外大好きっ子"にはたまらないセンスが発揮されており、「日常でありつつ非日常」という他の4コマ作品にはない個性が見どころの一つでした。
4コマ作品もいっぱいあって「しっくりくるオチがくる作品、しっくりこないオチがくる作品」があります。私にとってプラナは「完璧なオチがくる作品」だったんですよね。「欲しいところでちゃんとくれる作品」ってなかなか4コマだとないと思うんです。有人も筋を通すところは通してカッコよく、外道変態の河原くんも根本的には優しくていい男。主人公サイド以上に河原、ルト、ラニの関係性が好きでした。どんなに罵りあう関係性でも信頼関係みたいのがあって。まぁ、主人公サイドが健全なんで成立する立ち位置ではありますが。

ninoさんが持つ構成力が素晴らしかったと思う。「ヒロイン25人超え!」なんて煽りが成立するような作品でしたが、これだけキャラクターを増やして破綻しなかったのが偉い。実際メインにくるのは主人公サイドと河原サイドの数人でしたが。個性的なキャラクターを作り出すセンスが素晴らしい! 好きな人にはこれだけで飯食えると思うんですよね。人外好きって多いのに、この作品に言及する人の少なさがこの作品の知名度を物語っている気もしますが。
ストーリー的にも面白くて。多分、このレビューでネタバレされて「ふざけんなぁ!」と怒る人はいないと思うんで最後の展開についてネタバレ込みで語らせてもらいます。最後の展開が素晴らしかった!! 初期からランプの魔人としてプラナの失った記憶とか叶える願いとか、物語の根本に係る伏線・展開をちょっと匂わせつつ、それを"強引に"まとめあげた展開に拍手したい。こんなまともなストーリーが展開されるとは思いもよらず。
それから、最後のafterストーリーにはぐっときましたよわたしゃ。最後に茉莉ちゃんがいて、子供たちがいて、何気なしにプラナがご飯もりもり食べてるって最後のコマが大好きです。『ふおんコネクト』と別の意味で大団円の最終回の答えを提示してましたね。「永遠に続く日常」は4コマの本懐だと思います。



何故「まじん☆プラナ」はアニメ化されなかったのか
<これって表題ってやつだよね。『まじん★プラナ』はCaratだと長期連載で人気があった割には、4コマファン以外には(下手すると4コマファンにも)知名度が低いし推されなかったイメージがありますね。それはどうしてだろうね、教えてはちエモン!!
と、いうわけで。『ひだまりスケッチ』『Aチャンネル』『ゆゆ式』『あっちこっち』…とキャッチーで実力派な4コマは例外なくアニメ化されています。『まじん☆プラナ』は十分アニメ化できるポテンシャルはあったなーというのが私の本音。私だってそれなりに4コマ読んできてるんで「アニメ化できる作品、できない作品」ぐらいは分かります。プラナはアニメ化できる作品だった!!と思います。では、なぜアニメ化されなかったか。
きらら作家には「ブレイクしきれない作家枠」というのがあります。まー、私が勝手に思ってるだけですが。一つは湖西晶竹本泉のようにセンスが渋いのが影響して中堅・古参以上のイメージにはならない作家さん。もう一つはすかさんの『ひろなex』のように「人気は高いけど量産できない作家さん」枠というのがあり、ninoさんもその枠に所属しています。両方の枠に属する作家さんもいます、ととねみぎさんとか。
2006年から連載していての4巻完結ですから、それほどページを書けていなかったのがわかります。『けいおん!』なんかは07年から連載で同じく4巻ですからね。まぁ、4コマ作家さん、特に男性作家に関しては本職の仕事がある方が多いのでページを量産できない、もしくはギリギリで活動されてるのが多い現状ですが。ninoさんも本職の仕事持ち作家さんなので致し方ない部分多し。そういうページ数の少なさが影響してキャラットでも掲載位置が低かった、これじゃアニメ化は難しいですよね。

だから、もっとコンスタントに量産できてたら『まじん☆プラナ』もアニメ化してたんじゃないかなー…と思って残念な部分があります。まぁ、「歴史にたらればとifはありえない」というのが私の信条ではありますが。でも、動いてるプラナとか銃撃戦をするラニさんとか見たかったなぁ…とは思っちゃうんですよね。まぁ、色々法に触れる部分があってアニメ化はもともとできなかったかもしれませんが。河原さんの法に触れそうな発言とか。ちなみに私は河原さんとラニちゃんコンビが一番好きです。
やっぱりアニメ化以外で4コマが注目される風潮は殆どないのが現状です。雑誌でのステマ的活動もありませんし。中にはきゆづきさとこさんの『棺担ぎのクロ』のように作家性で「力のある4コマ」が注目されるパターンもありますが。そういう陽の目を見ないで続き終わっていく作品がもっと読まれるといいなーと。プラナはファンに愛された作品だと思いますけどね!! ビバハリケーン!!


つーわけで、今年最後の本格的なレビューになるかもしれません。だって、そろそろ12月ですから。