「この4コマが熱かった!」今年の新刊5選&既刊3選 for 4コマオブザイヤー主催セレクション

通常更新はちょっと久しぶり。まぁ、仕方ないですよね、この時期は!! うん! 告知をブログ上ではしていませんでしたが、今年も「このマンガがすごい!2014」のアンケートに参加しています。今年のベストではありますが、雑誌と全く同じランキングにはしたくないということで「熱さ」に焦点を置いて、また別の目線から私の本年ベストを選んでいます。2013年の私のベストはこれだー!!


新刊部門

ある日、突然、世界から人がいなくなった。人っ子ひとり、猫の子1匹いなくなった街を、ただ1人残された女の子・ミヤコが流離う。誰もいない町で、笑ったり怒ったり驚いたり赤面したりするミヤコは、やがて街に自分以外の“何か”がいることに気付く。人間なのか、それ以外の何かなのか、何も分からない“それ”を、ミヤコはオンノジと呼ぶことにした。 その後ミヤコはオンノジと接触し、その正体は人間が変化したフラミンゴだと知る。そこからミヤコとオンノジの、2人(1人と1匹)しかいない世界を巡るエピソードが描かれていく。

今年のベスト。自分しかいない世界に放り出された少女と一人のフラミンゴの物語。「このマンガがすごい!2014」で9位にもランクインした作品。個人的には「漫画読み」には受け入れられる作品だとは思っていましたが、「4コマを読む人」には興味をそそる作品にはなってない印象なのでその層にも読まれることを祈っています。
施川ユウキは日常系の作品が殆どなのでこのようなストーリーテイストの作品を書くのに4コマが選ばれたというのは喜ばしい。今までは「思わせぶり」な部分はあったものの本格的なストーリー作品はなかったので今回の作品で初めて施川ユウキが秘めていたポテンシャルが存分に生かされた感があります。
「SF」というよりは「なんちゃってSF」ぐらいの感覚の作品なので、細かい部分での疑問点は全て放り投げて「こまけぇこたぁいいんだよ!!」という態度で読むのがベスト。いいんですよ、細かいことは。こういう名作と呼べるストーリー作品が4コマで描かれたのは喜ばしいこと。「サブカルwwww 4コマwwww」とか言わないでまずは読んでみてください。(発売当時のレビュー


金持ちをこじらせて、周囲から孤立するお嬢さま・地獄巡 春。彼女が出会ったのは、無口で時代錯誤な変人・川柳 徒然。それは、お嬢さまにとって初めての友達。そして、初めての…?

クール教信者作品からなにかひとつ、ということで『小森さんは断らない!』もいいですが、紹介をしていなかったこちらの作品を。お金持ちで偏屈な少女と無口で偏屈な少年の物語。書かれているのは凄い普通のことなんですけど、時に少女から、時に少年から、時に第三者からクール教信者さんが丁寧にシンプルに描写していてどんどん読めてしまう。
ギャグなところはギャグですし、偏屈な部分は凄い偏屈。シリアスに決めるところはちゃんと決めて、1巻のクライマックスである告白シーンは4コマでの三大告白シーンに入る描写。友達って? 恋人って?と当たり前のことをステップアップしていくのは先が楽しみな作品。
(※三大告白の残り二つ? えーと、ラジオでGO!、幕張サボテンキャンパス。ちゃんと考えます。)


格闘ゲーム部「格芸部」の日常を描いた4コママンガ。ちびっ子だがエースのウメちゃん、部長のときと、読者モデルのマコ、露出狂のアレクなど、個性豊かな部員が揃う格芸部に、空手少女のさくらが間違って入部してくる。格ゲーマニアにはおなじみのザンギュラのスーパーウリアッ上ネタも満載だ。

ゲーム擬人化作家のIkaさんの商業誌でのオリジナル4コマ作品。「格闘ゲーム部」という色物出オチ設定でありながらストーリー4コマとして昇華させている面白さ。マニアックなネタもあるものの、全体的にはいつものIkaさんという調子。重い部分が全くないため非常にサクサク読むことができる。
今までのIka作品は元ネタがなにかあるか、設定に載せてあまりキャラクターの個性は重視されていない作品が殆どであったため、普通に女学生を書く際のポテンシャルをこんなに秘めていたことに驚く。「これがIkaのオリジナル漫画だ!!」とアピールしてもいいぐらい。漫画ってこんなんでいいんだよなー。楽しいー!
当時のレビュー


拝啓、僕はミッソンインパッセボーゥが大好きで、24時間いつでも外出先でも読んでいたいので、このたび携帯をスマートフォンに機種変更しました。するとどうでしょう!仕事の効率が向上、営業成績もあがり、上司には褒められ、同じ部署の憧れの女性ともイイ感じになれました! こんなことならもっと早くスマートフォンにすればよかった! スマートフォン最高!感謝してま〜す!

今年のギャグ漫画としてはベストな勢い。伝説のスパイレジェンドとその相棒の物語…ではありますけど、とにかくくだらない。とにかく面白い。堂々とこんなにくだらないことを書いてもらえる嬉しさ。4コマの途中で迷路になったり、嘘最終回を書いたり、4コマに勝手に自己紹介をつけたり、反則技をたっぷり繰り出してくるこれが新しい4コマだ!! これを読まずに年が越せるか!!という感じ。超お勧めです。多分、「どこがおもしれぇんだ!」と言う人もいると思いますが、責任は持ちません!!


週アスPLUSにて100万PVの大人気4コマコミックが、待望のフルカラー単行本化!
きままな大学生イケダくんの元にやってきたのは、まったくデレないツンツン家政婦ロボ・カレット。彼とカレットが巻き起こす、ちょっとエッチ(特にエッチな描写はありません。主人公が変態なだけです。)で容赦ない日常!

変態とサイボーグの女の子の同居4コマ。主人公がナチュラルな変態、カレットちゃんはデレまったくなし。とにかくバランスが狂ってるおかしな4コマ。作者のtugenekoさんはスクール水着ナチュラルに着こなすという『すくみズ!』もそうですが、狂った世界観を平然と書いていくという才能が素晴らしいと思う。この作品は連載当時からずっと絶賛してたので単行本化して続刊も出そうというのが嬉しい。あなたが読みたい変態がここにある!! 世界よ、これが変態だ!!


既刊部門

Fate/stay nightのコミカライズ作品。世界よ、これが公式だ!!

贔屓目ではなく、巻が増すごとに面白くなっている。ずっと種まきをしていた許嫁問題や沙条さんの設定が生きてきて、それらがストーリーに絡んでいくことで「ギャグ4コマ」でしかなかった氷室の天地が新たな扉を開いてまた新たな一面を見せている。勿論ギャグのキレは相変わらずであり、既存のキャラクター達の暴れっぷりも加速度を増すばかり。
「今後どうなるのだろう?」という面白さと元ネタたっぷりの安定したバカ漫画としての魅力が合わさって4コマとしては長編作品になっているものの飽きが来ない。作品世界では、ついに聖杯戦争の時期がきており、「氷室の天地の世界観が進行している」中でどう進行していくのか楽しみである。交わりはしなくても、世界は繋がっているのだから。


祖母を亡くした主人公かながひょんなことから新聞専売所で働くことになり・・・
主人公かなと専売所の個性的な仲間達とのドタバタコメディー。

新聞4コマ完結。アニメ化以降存在感は希薄になっていたが、安定して高いクオリティを維持し続けていた。キャラクターの個性は増すばかりでこのまま続いていくとバランスがいつか崩れるのではないか、と思っていたので完結もまた良しか。個人的には作者ブログで書かれていた「書かれることのない設定」を作品化して欲しかった。どうしても、その書かれてない部分を残しての完結は作品のピースを欠いているとしか思えない。それでも、きららの歴史に輝く作品の一つであることは間違いない。


B級グルメ&むっつりお色気へのあくなき探究心、 そして未来への不安と挫折にまみれたメシウマなキャンパスライフもついにクライマックス!

おいしい物を食べるというサークル4コマ完結。ひらふみさんが描くどうしようもないダメ人間感が存分に味わえる一方でまともな青春4コマをしており新たなひらふみ作品の一面が見えた作品でした。恋愛関係、進路にも4コマにしては珍しくしっかり完結させておりもっと評価されていい作品だと個人的に思う。ただ、あまりにも綺麗すぎるのでもっとドロドロしてたほうが作者らしいなーなんて思ったり。


さて、今年のラインナップはいかがでしょうか。全体的な今年の4コマ作品に関する雑感は4コマオブザイヤーを終えてから書きたいと思います。4コマオブザイヤーも締切まで残り1週間足らず。投票特設サイトをご覧いただいて是非参加してみてください。