『けいおん! college&high school』とはなんだったのか考えてみる

けいおん!の続編が出たね。
<おねえちゃんが出てるほうのストーリーラインはなかなか微妙だよね。ボンクラ大学生っぽいけど、けいおん!でこんなんやる必要なかったんじゃないかなぁ。妙に現実を意識しちゃうというか、けいおん!の魅力ってガールズトークのだらだら箱庭感でしょ? なんで真面目に作っちゃったのかな、理解に苦しむよね。なんだかな〜。
<え、そんなキャラなの。しかもズバズバいうし。これ配役逆じゃない?
<知らない〜。
<私たちが大活躍のhigh school編も出たね。
<主な活躍は梓と私、後輩たちだけどね。あんまり純の存在には重みが置かれてない感じ。凡人で自意識過剰だから回しづらいんだろうけどね。本来ならりっちゃん先輩的なポジションを期待されてるんだろうけど、純が仕切ると梓と後輩の交流が描きづらいから。それでも前作のストーリーラインを踏襲してるだけあって非の打ちどころがないね。しいていえば展開が早いからあっさり終わっちゃうところかな。それってプラスであってマイナスだよね。
<ひどい!! 私の存在意義ちゃんと語られたけどうれしくないよ! も、もういいや。本編いこう。

 

collegeもhigh schoolも1巻完結で終わるのは決まっていたでしょう。その中でいろいろと書く方向性はあったと思います。映画にそった話、よりぬきけいおん!さん、beforeのエピソード…。その中で"after"を選び、書かれた作品の意味合い。それを考えてみたいと思います。
よくcollege編は「なんで書いたんだろう」「なにを表現したかったの?」そんな声を聴きます。college編=いらない子みたいになっちゃってる認識は個人的にどうかと思う(「そんなことないよ!」と思う人も多々いるでしょうが)。はっきりいって『college』は読者の期待を裏切る作品でした。アルバイト、男性の登場、色恋の存在、そんな現実は「けいおん!ワールド」には不要であり、そんなのは読みたくないと思う人が多数でした。みんなが読みたかった『けいおん!』はHTTのメンバーがうだうだお茶会をしてライブをする作品だと思います。「そうや! ストーリーなんか必要なかったんや!!」という調子でしょう。なぜ、期待通りの作品でなかったか。それは、かきふらい先生が『けいおん!』の呪縛から卒業するために必要なものだったのではないかな、と。あれだけ大きな作品を書いてしまったら、なかなか他の作品には移行できなかったと思います。それは作者としても、読者としても。
新キャラクターたちとの交流が増えHTTの交流が減ったように感じるのも、古い世界の破壊の象徴でしょう。「唯たちも新たな世界に出ていくんだ。みんな、卒業して次に進もう。」そんなメッセージに感じます。『けいおん!』を乗り越えるため、新たな『けいおん!』を作る。『college』はそんな意味合いがあったのではないでしょうか。
プラス1巻でかきふらい先生が描くと決めた世界は箱庭の再構築ではなく、未来でした。college、high school、この二編で最後まで梓と唯たちが交わらなかったのも、「卒業して次に進む。」という意思表示だったと私は解釈してます。high school編は梓のHTTからの呪縛からの卒業、自立がテーマだったと思います。「唯たちがいなくても大丈夫」そんな新しいあずにゃんを描き切っていました。
high school編はかきふらい先生がcollegeを反面教師にしてたとしか思えない…ぐらい前作のストーリーラインを踏襲しています。曲作り、バンド名、合宿…1巻で完結させるために前作のおいしい部分を詰め込みに詰め込んだ構成は「普通に書けば面白いでしょ。」的な暗喩があるのではないでしょうか。実際のところ面白かったですし、おいしかったですしね。
ぶっちゃけhigh schoolは人気高かったでしょうし、おいしい要素を分散させるとか時の流れをゆっくりする、とか続ける方法はあったでしょうしね。1巻で終わるには惜しい、と思ってる人は多いでしょうか。かきふらい先生は急ぎ足で「中野梓の成長」を「最初で最後のライブ」という形で完結させたわけですが。1巻完結で全力を尽くす、ってカッコいいですよね。
アニメ化以前と以後では漫画のテンションが大分違う部分から、絵柄、テイスト、キャラ絡み…『けいおん!』はアニメが持つ要素に引っ張られた部分があります。『いいひと』なんかとは違ってプラスに引っ張られているとは思いますが。アニメが持つ箱庭感が作品を昇華してる魅力、だと理解してるからこそ、highschoolは箱庭感満載なのでしょう。かきふらい先生も「箱庭よサヨウナラ」と投げ出さず、ラストのさわちゃん先生の「次の軽音部はどうやって私を楽しませてくれるのかしら。」とファンへの優しさを残してくれるわけです。『けいおん!』ワールドは続くってことさ。唯、梓は未来に進むけど、さわちゃんはここにいる。いつだってけいおん!、軽音部に戻ってきてもいいんだ、という優しさ。かきふらい先生の『けいおん!』への愛を感じます。collegeからhigh school、そして新たな軽音部へ。単行本がこの順番で出たことにも意味がある。未来へ!!


ま、collegeが面白いかはさておき。high school編は終わるにゃ惜しい作品でした。ようは、さ。純にゃん最高ってことですよ。純にゃんぺろぺろ。咲の池田とか、純ちゃんとか、ウザ可愛いっていいよね! 次回「ウザ可愛女の子の魅力」でお会いしましょう!!
<こんなオチじゃダメでしょ。
<知ってるー。
<知ってるのかよ! 一本取られたよ!!