本格恋愛小説『イチョウ並木のセレナ―デ★』 第1話

俺は少し寒い風に吹きあれながら通学路を歩いていた。
あぁ、今日から春休みだというのに補習とはついてない。いや、勉強しなかった俺が悪いんだけど。
「なんだうかない浮かない顔して!!」
同級生のくされ縁の近藤隆が俺に気づいて話し掛けてきた。こいつは補習の常連なのですました顔だ。
「・・・うるせぇバカ。俺は補習の前に楽しくしてられるほど楽天家じゃねぇんだよ」
「なんだなんだそのマイナス思考は! 新たな出会いがあるかもしれないと思えば楽しいだろ!」
「で、新たな出会いはありましたか? 補習を1年から2年オの最後まで完全出席の近藤君?」
「うっ・・・」
「あーあ・・・ それに同級生で今更2年の最後にあるわけねーだろ」
「ちっ、つまんねぇ考えだな」
そんな風に愚痴りながら(主に俺)俺達は学校に向かった。
(つづく)