ドラマ4 『NHK土曜時代劇』

『浪花の華 〜緒方洪庵事件帳〜』の第一話「禁書の秘密」を見る。将来の緒方洪庵窪田正孝)と謎の女侍・左近(栗山千秋)のタッグでの一話完結型ミステリー活劇。
陽炎の辻』が鉄板ならばこちらは冒険。実在の人物をモデル(あくまで、モデルですが)でメインキャストも若手中心と挑戦的です。

緒方洪庵窪田正孝)は本の虫。先生に禁書を買ってくるように頼まれるが、商人には値上げさせられ金は手付け金として取られてしまう。
次の日行くとその商人が殺されているのを発見。禁書の包みを持った左近(栗山千秋)の姿を見て追いかけるが、禁書なので保護すると、本を取り返す事ができない。
事情を話すと本を返してくれると言うので、指定された場所に行くと刺客に殺されかけてしまう。間一髪の所で左近一味に助けられる。
それは大和屋の刺客であり、持ち主のない禁書は神社に奉納されるので、殺して奉納された本を写本で横流しするのが目的だった。
緒方が写本を見れば誰かが分かる、と左近が言ったのでバレては困ると狙ったのだ。左近の目的は本屋が本を独占する事で新規の本屋が参入できないのを防ぐ事だった。

原作は未読でしたが、ディティールや設定には満足。第一話では大槻玄沢なんて名前もチラッと出てきて『風雲児たち』ファンにはニヤッとさせられてしまう。
不満なのは緒方洪庵の性格か。「世間知らずの未熟な医師見習いが成長する」のがテーマなのは良いですが、まともな会話もできないのは如何なものか。
左近の目的などは取って付けたようにしか感じず。殺陣部分もそうなんですけどね。拳銃の登場など世界観を自ら壊してるような。
緒方も助けられて左近と相棒の見せ場になるだけでは物足りない。戦わないのは良いですけど、怯えているだけというのも。今後に期待。


「時代劇は数字が取れない」と縮小されている中でこのような意欲作を放送するNHKは偉いと思う(他は置いておきましょう)。
ベタな殺陣をしっかり入れてくれる、ある種王道の時代劇を作ってくれるのは嬉しい。さすがに水戸黄門を見ようとは思わないので。
私はおっさんがいっぱい出てくる濃厚なドラマが好みですけど、若い人が中心のライトな時代劇も後世のためにいっぱい作って欲しい。
EDテーマがくるりの「三日月」というのも非常にドラマの雰囲気と合っていて良かった。NHKとは思えないナイスチョイスでした。良い曲です。