あえて言おうオススメだと! 奇才・G=ヒコロウ『XXXのゴアちゃん』『不死身探偵オルロック』

今回は漫画家、G=ヒコロウ特集をしたいと思います。まぁ、まず「G=ヒコロウって誰よ?」と聞かれる方が多数だと思います。ゲーメスト格闘ゲームのパロディ漫画を書いていた方で、コミックビーム等でも連載していました。ジャンルとしてはポップな絵柄と独特の言葉廻しをするカオスギャグ。現在もニッチな活動を続けている漫画家さんであります。

読もう!『XXXのゴアちゃん』

去年発売された『XXXのゴアちゃん』はヒコロウさんが書いた00年から10年までの連載やショートコミック短編を収録した短編集です。どんだけスパン長いねん!!とツッコミを入れざるをえません。まぁ、単行本にしても久々すぎて帯に書かれる文字が「7年目の奇跡、再び…!」なんて書かれるぐらいですからね! クオリティと生産速度が反比例
収録されているのは日記漫画、1P漫画、短編漫画、都市伝説イラストコラム、イラストカット…もう、とにかくヒコロウさんがコアマガ関係を余すことなく収録しています。日記漫画かと思ったら説明一切無しの謎のキャラクターがバキの感想を言ってたりしますが。そんな作風です。それらのどれもが、すげーゴチャゴチャしていて完成度高いです。
G=ヒコロウの魅力というか「なんで俺こんな好きなんだろう」と考えると、やはり絵柄がポップなので読んでいて幸せという部分が大きいです。男性から女性、等身が高いキャラから低いキャラ、人間から非人間までどれもポップな絵柄とそのキャラの壊しっぷりが素晴らしい。ゴアちゃんとか可愛いチビ女子高生キャラですけどいつも流血してるし。ヒバリちゃんとか王女で可愛いけど前バリしてるし、狂ってて斧で主人公達を惨殺するし。

一応連載漫画でも話の本筋なんてあってないようなもんですし。そのあってないようなお話とか、妙な気分にさせてくれるオチとかめちゃくちゃ好きですけど。「結局どんな話が収録されてるんだろう…?」と思うワクワクキッズ達のためにどんな話が収録されているかをご紹介します。

・突然ザリガニになる呪いをかけられた短編「ザリ」

これもオチが妙な気分になります。
・突然朝起きたら化物になってた短編「モンスターNO.9」
・洞穴で迷う短編「ゾンビ」
夢の島で生き埋めになるお話「ミミズ」もあります。「なんか似たのを読んだことあるような」感があると思ったら、道満晴明先生の短編でも似たような密室物がありましたね。何故洞穴だったり夢の島に閉じこめられているのか説明がある! スゴイ! …いや、そもそも説明なしが前提ってどういうことよ。でもそれがヒコロウ漫画なんですよね。
・「本日晴天電波良好」

古くて大きい擬人化携帯さんとおっさんの話。いつも通り孤高無双な酷い話かと思いきやほのぼのするお話。ちっちゃいケータイが可愛い。大きくて古いケータイさんの「わたしがんばる」がすげー好き。
・ケイ×ドロ
目の前で死んだ怪盗とそれを追い続けた刑事の話。「死んだことから目をそむけて追い続ける刑事」という悲壮感溢れる漫画…なんですけど、完全にギャグ。2P短編ながらめっちゃ濃ゆい。
・ハチミツとグローバー

どっかで聞いたことがあるタイトルだけどまったく関係ないのです。「今日も元気にニコニコギャース!」とメロンブックスのイメージキャラクターらしき人が地獄でHな同人誌を探す話。「嘘みたいだろ…、これ本当の話なんだぜ…」ええ、ようするにいつものヒコロウワールドです。あ、キャラクターは可愛いよ!!

あとは連載漫画の「1P田中さん」とか「コアマガのGOREちゃん」がありますけど、説明するとチビとノッポがショートコントする話。このチビとノッポの漫画は非常にカオスで基本的に滅茶苦茶。例えば銃とホヤで殺し合いをするような漫画。あとは説明不能な「水漬け!オカルトうずら狩り部」なんてのもあります、簡単に説明すると尻にオリハルコンが刺さる話です。うん、一生わからないね。
この本筋なんてあってないようなカオス一発ギャグの百花繚乱がヒコロウワールドなんですよね。これをポップなキャラクターでやるんだから面白い。ハマる人はハマるし、ハマらない人は一生ハマらないそんな漫画家さんだと思います。私も何回目からかハマりました。あ、田中さんは黒髪ロング。前髪ギザギザしてるけど。


読もう!『不死身探偵オルロック』

不死身の探偵オルロックが難事件を解決するミステリー漫画の形をとったギャグ漫画。主人公が一回としてまともな推理をしていません。残念ながら現在は絶版状態のようです。私は半年ぐらい前にコミックZINにどこから持ってきたのか、新品で置いてあったのを買いました。6年前に発行されているだけに「誰かの私物だったのではないか?」と疑っていますがいかがでしょうか。

この『不死身探偵オルロック』は助手に胸に杭をうたれて死んだまま名推理をしたり、台風と戦ったり、フーリガンと戦ったり、謎の空間でクイズバトルをしたり、主人公がキャラを途中で路線変更として変えたり…。うん、そうだね。いつものヒコロウワールドだね。
いつも通りめちゃくちゃなわけですが、オルロックが不死身である理由とか、そもそも探偵なのに依頼人がろくに出てこないとか…。そもそも主人公が事件を解決した記憶ねぇ!! ちなみに、この漫画の最終回に関しては悲劇的なのか意味不明なのかつかみ所のない最終回なのですが誰か解説してくれないでしょうか。内容はフーリガンが表れて、そもそもフーリガンというのは…。ごめんなさい、解説できません。
あ、助手のアンデッタがめちゃくちゃ可愛いです。少女かと思ったらいきなり青年サイズになったり。この作品に登場する泥酔刑事、中華娘といいヒコロウさんの書く女の子はみんなダメ可愛いです。



ゴアちゃんの帯で小竹田貴弘先生が「無意識に「ヒコロウ語」を口走るほどの感染力!」と書いてますが、そのヒコロウ語は思わず使いたくなります。「こくわにっこりー」「はんのこしょんぼりー」てな具合に。「意味わかんねぇよ!」と思った方ごもっとも! 先ほどの短編のタイトルもそうですが、ヒコロウさんの言葉のセンスはすげー好きです。
何故私はこうも桜玉吉とか普通に漫画を書いてくれない漫画家さんが好きなのでしょうか。そうですよ、『BASTARD!!』とかも好きですよ。お薦めだよ、レッツヒコロウワールド!! ここまで支離滅裂なレビューも珍しいと思います。漫画が支離滅裂だから仕方ないですよね。こくわにっこりー。