月刊ComicREX発、このミステリー4コマがすごい! 鈴城芹『JC探偵 でぃてくてぃ部!』

あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。年末にかけて行なった4コマオブザイヤーに関しては無事終了し、好評のようでなによりです。年末に開催するのであれば、是非ご協力お願いします。初心忘れず4コマレビューサイトとして気張っていきます。
今回は鈴城芹先生の新作をご紹介。今回のタイトルは正直陳腐です。納得いってません。でも、このタイトルが一番ピッタリきますし、伝わると思うんです。悔しいです!!

ひいおじいちゃんは名探偵!な照葉は探偵に憧れている中学生。学校で起きた事件を見事解決(?)して、でぃてくてぃ部を発足!! 仲間の詩と細と供に事件に挑む!? 今日も名探偵照葉が行く!! 「ひーじっちゃんの名にかけて!!」

どうでもいいですが、表紙の細ちゃんはどうやって照葉のスカートを盗撮してるのでしょうか、そもそも何故。
今作品は一般的なコマ割と4コマを融合させた作品になっています。ちなみに、でぃてくてぃ部はDetectiveからきてます。

[名]探偵;刑事

a private detective
私立探偵

put a detective on a person
人に探偵をつける.

━━[形]

1 探偵の

a detective story [novel]
探偵[推理]小説

a detective agency
秘密探偵社.


ミステリー4コマ及びTRPG的楽しみ方
過去に鈴城作品は数作品レビューしていますが、鈴城作品は「背景」が面白いです。『くすりのマジョラム』であれば薬剤の背景、『看板娘はさしおさえ』であれば質屋イズム、『家族ゲーム』であればゲーマー脳、その背景が上手く作品に作用して読み応えのある作品にしています。それが『でぃてくてぃ部』では探偵でありミステリー要素がパロディ的に仕込まれており読み応えがあります。
探偵漫画というと「ぺろっ、これは青酸カリ!!」と言う殺人事件をモチーフにした探偵漫画が一般的ですが、この作品の探偵はお仕事としての探偵です(作者もお仕事モノと明言してます)。スプレー缶で落書きした犯人を捜す等、犯罪チックな事件もありますが、基本的には身辺調査等「現実の探偵的」な地味な探偵業がモチーフになっています。その現実味が鈴城作品らしく、そこに鈴城作品特有の「背景」が絡んでくるから面白い。流行りの「部活モノ」「女子学生モノ」でありつつ、ミステリー漫画として読ませる作品。このバランス感が良いのです。

照葉達は中学生でありまだまだ子供ですが、事件に対してアホの子の照葉が時折観察力を発揮し鋭い考察を見せる。そして実際に事件を解決し、祖父の探偵事務所を継いだ長が登場するなど「箱庭感満載な女子学生のお遊び」ではなく「探偵モノ」として読めるから面白い。勿論、女子学生の部活モノとしても一流だと思いますけどね☆ なーんてねっ!
殺人事件は登場せず、本格的なトリック要素もありません。それでも、4コマ漫画としては例外がないほどミステリー要素が「ちゃんとした」世界は読み応えがあります。こう「ちゃんとした」ってあまりないんですよプロデューサーさん。この感じは深夜に放送する「30分の探偵ドラマ」もしくはNHK教育で10時からやってる学園ドラマに近いでしょうか。個人的に入間人間「花咲太郎シリーズ」西尾維新戯言シリーズ」のエピローグとちょっとだけ似たような雰囲気がある気がします。


コメディ4コマとして優秀な一方、TRPG的に4コマを楽しむことができます。TRPGの一要素ですが「キャラクターが役割を全うした瞬間は気持ちいい!」という「役割を持つキャラクターがカチッとハマる瞬間」が気持ちいいのです。
「探偵物パロディ」が出発点となっているため、それぞれの人物に役割(ポジション)があります。アホの子だけど洞察力に優れている「迷探偵」照葉、機械に優れており常識的な目線が強い「博士ポジション」の細、格闘系でメガネっ娘「格闘娘枠」の詩、そして巨乳でいやらしい妄想を沸き立たせる「お色気枠」千草先生。しかし、細ちゃんは齧歯類という酷い愛称です。こんなに可愛い齧歯類は生まれて初めてだよ!!

それぞれが事件解決のために能力を発揮して事件解決に動く、この要素は王道ながら気持ちいいです。ルパン三世を例にすると分かりやすいのではないでしょうか。オールマイティのルパン、射撃の達人次元、剣の達人五右衛門、お色気であり引っかき回す不二子。それぞれが役割を発揮すると読んでいて爽快感があります。役割を全うする安心感!!
アクションに関しても4コマとしての形ではなく、一般の漫画のコマ割を使ってダイナミックに表現してくれる。「4コマ漫画家は一般の漫画を書くとヘボくなる」という少なからずある一例に当てはまりません。ミステリーでもコメディでも、ハズさない安心感。「え、なんなのこの展開」みたいなもどかしさがないのが嬉しい。鈴城作品の裏切らない安心さは4コマ界でも随一だと思います。


どことなく性的に
鈴城作品には顕著なんですが、今作も「どことなく性的」です。特にその要素がこの作品は大きい気がします。なんつーか、エロい。「少女」と「大人」の間に咲く花である女子中学生でやる辺り「鈴城先生…、さすがです…」と言わざるをえない。JKでなくJCなのは事件の規模と釣り合うためなんかなーとか思ってみたり。

この作品の性的さを支えているのは詩ちゃんと先生だったりしますが。特に先生のエロさに関しては鈴城作品でもトップクラスにエロいのではないでしょうか。男性経験皆無でおっとり巨乳というステータスの高さ。「ヒャッホーーーイ!」とならざるをえません。あれ、主人公は…。しかし、よく考えると鈴城作品の主人公は性的魅力が低い気がします。と、いうかつるぺたしか主人公にいないという。
それはさておき、今作品は過去の鈴城作品と比べると毛色が違います。と、いうか性犯罪率が高い。女子学生を脅す、更衣室覗き、おっぱいで色々させてもらおうとする…、雑誌で読んでいた時は「どうしてなんちゃって事件じゃないのだろう。」と違和感がありましたが、単行本で通して読むと「真っ当な探偵モノ」として突き進もうとするからだと分かりました。是非とも長期連載で楽しみたいものです。
それでは、今巻の名台詞を紹介してお別れです。

本人に会った記憶とブラのカタログでどこまで妄想したやら

谷間に手をつっこんだときなんかぬるっと

生搾り

恥ずかしながら男性経験がないので上手にできるか分かりませんが

俺おっぱいが好きなんで
ちょっとここ使って色々させてくれれば

名言集でした。生搾り。それでは、今年もよーろーしーくーねー。