このカレーがスゴイ!『カラスヤサトシ / カラスヤサトシの日本びっくりカレー』

お久しぶりです。…というのも、仕事とか体調とかで色々ありまして。まぁ、色々あったわけです。公に書けることはあんまりないんですけど。近況としてはアイドルブログやってます。こっちはこっちでイベントに参加したときぐらいしか書いてないんで更新頻度低いんですが。まぁ、当ブログも徐々に復帰できればと思います。そろそろ年末だしね…。
今回は息抜き更新。とはいえ、今年のベスト候補ですよ奥様!

読むとカレーが食べたくなる!裏メニューの激辛カレーにのたうち回ったり、ボケ防止のお話を薬学博士から伺ったり……。うまいはもちろん、個性的なカレーのお店やカレーにまつわる話を、カレー大好きなカラスヤサトシがご紹介。

カレーカレーカレー

私「この4コマ、今年のベストぐらい面白いですよ」
某「ないわー」
私「なんでですか。ただただカレー食べてるだけですよ!」
某「ないわー」

私はカラスヤサトシ作品はヘビーリスナーですが、このブログで作品を取り上げたことはなかったりします。代表作であるテーマフリーの『カラスヤサトシ』では売れたことで作品を乱発していたからか、ネタ切れ感が多く見受けられ正直「うーん?」と思っていまして。連載の途中で「売れたことでつまんなくなった」みたいなことを周りから言われた、みたいな自虐ネタまで放り込んできましたからね。
それに加え、テーマを決めて連載されたおしゃれ歌留多、萌道、野性のじかん、大発明大王王なんかはテーマがもはやムチャすぎて「これで連載すんの!?」的な連載で読んでて厳しいものがありました。『大カラスヤサトシの大発明大王』『野性のじかん』なんかはムチャっぷりが突出していて面白いんですけど。
今作は「担当編集とカラスヤサトシのカレー好き」が発進になっているため、過去作に見受けられたそういうムチャぶり要素が殆どなくて、いい感じに肩の力が抜けててひたすら面白い。中身はただただカレーを食べたりカレーを語っているだけ、このゆるっぷりがすげー面白い。
ただ、この漫画はWingsという女性誌で連載されたため全く知名度がない。カラスヤ作品は若干マニアックな立ち位置だと思いますが、この作品は特に知名度がない。個人的にこんなに面白いのに全く知られてないのが勿体ない。久々にこのブログの存在意義「有名漫画ブロガーが語らないから私が語る」という意義を思い出しました。
この漫画はテーマがカレーに関することしかしないのが面白いです。


・激辛カレーを食べに行こう!
・もっと辛い激辛カレーを食べに行こう!
・ダムカレーを食べに行こう!
・神保町カレーを食べに行こう!
・鉄道カレーを食べに行こう!
・北海道vs沖縄レトルトカレー対決
・カレーをスパイスから作ろう!
・大阪へカレーを食べに行こう!
ご当地カレーを食べよう!
・カレー合コンに潜入!

うん、見事にカレーを食べてるだけ。とにかくカレー食べてるだけ。私が何故この漫画を面白いと思うかというと、最近は「ただ飯食ってるだけで面白い」という構造が最近あります。『孤独のグルメ』だってただご飯を食べてるだけ。エッセイ漫画というのはいくらでもありますけど、まだまだ飯を食べてるだけで成立してる漫画は少ないと思うんですよ。
「ご飯を食べてるだけで漫画は面白い」という常識がもっと広まるべき、そう思います。カレーを食べてるだけで漫画が成立する。勿論、前提として"カラスヤサトシがギャグ4コマ漫画として成立させてるから面白く読める"という部分が大きいのですが。好きなものに体当たり、カラスヤサトシの真骨頂。
今はエッセイ漫画が乱立してますけど、本当に面白いエッセイ漫画はごくごく少数だと思います。一つのテーマに特化したエッセイ漫画というのは基本的に面白いですが。「この作者にしか書けないものを読みたい」と思うのは当然ですもんね。カラスヤサトシはオールマイティで体当たりレポ漫画書かせれば強いですけど、好きなカレー+体当たりだと切り口が倍は面白いです。

この作品の他のカラスヤサトシ作品との一番との差異は「担当編集者に個性がある」「カラスヤサトシと自然に接する」ということだと思うんです。今まで作中に登場するのはカラスヤサトシを嫌ってたり、無個性だったりして自然に読めませんでした。はじめてカラスヤサトシに好意的で普通に会話ができる編集者が登場した気すらします。
こう、好きなものをカレー好きの編集者と一緒に作ったからこそ作品に「好き」があふれている作品になったのではないでしょうか。作家さんと編集者の繋がりってやっぱり大きいと思うんですよね。またこの編集さんと一緒に作品作ってくれないかなーと思います。テーマはカレーで。


ただただ、カレーが食べたくなる、そんな漫画があってもいいと思う。私はこの間ココイチに初めて行ったんですけど、お店のカレーってあんなにトロトロなんですね。そんなことを思ったり。エッセイ漫画というのはただ書くだけでなく、お笑い漫画として成立させるのは大変だと思います。そういう要素も含めてお薦めです。今年のベスト候補!!