漫画な話138 『流されて八丈島(たまつやよい)・はじめてのあく(藤木俊)・愛…しりそめし頃に…(藤子不二雄A)』

流されて八丈島~マンガ家、島にゆく~

流されて八丈島~マンガ家、島にゆく~

男女コンビ・たかまつやよい(夫婦ではない)の新作。この作品はオタクの漫画家・やよいが八丈島に突然移り住んだ所から始まる。当時テレ東でやっていた番組で紹介されていて興味を持って来島した時に決めたという。あくまで一候補だったらしいが、それで決めるとは無謀に近い。
エッセイ漫画ではあるが、淡々とした日常というよりは「八丈島はこんなに良いところです」という紹介の意味合いが強く出ている。台風直撃、犬の散歩に行くだけという話も中にはあるが。
本誌で読んていた時は淡々と日常を描く漫画だと思っていたが、それ以上に「八丈島を紹介する」というコンセプトが強すぎて、まとめて読むとそれがしつこくもある。
やよいの生活も面白くはあるが、相方・たかまつが東京からやってきた回が好きです。パチンコをしにだけ来たり、やよいに路上生活をしろとムチャぶりをする様子が面白い。
八丈島に住みたい!」というよりは、「こういう生活は無理だな」と思ってしまう私ではあるが。何故か4コマ漫画家の日常系エッセイというのはハズレなく面白い。岸辺露伴が都会に住む意味はない、と言っていたが漫画家だからこの決断が許されるのだろうな。
はじめてのあく 1 (少年サンデーコミックス)

はじめてのあく 1 (少年サンデーコミックス)

こわしや我聞』の作者の少年サンデーでの新作。5年ぶりらしいですけど、「もうそんな経ったのか」と驚きが強い。『うえきの法則』と同時期ぐらいでしたっけ。
悪の組織の一員の少年が従姉妹の女の子の家に居候してくるという話。厄介な男の子が来る、女の子が来るのが多いので発想の転換らしい。この発想は結構「おお!」と思った方が多いのではないか、多分。
今後の展開は分からないですが、コメディ漫画を意識してるらしくギャグ多めサービスカットも(?)多め。コメディも良いけど『こわしや』好きとしてはたまにバトルも読みたい所。
しかし貧乳小柄眼鏡癖毛をメインヒロインにしてくれるとは嬉しい。「小さくてもおっぱい」は漫画誌に残る名言! 最近の「胸は大きくないと胸ではない」風潮は如何と思う(誰だお前は)。
愛…しりそめし頃に… (9) (ビッグコミックススペシャル)

愛…しりそめし頃に… (9) (ビッグコミックススペシャル)

言わずともしれた『まんが道』の続編。もう9巻も来たのだな、という驚きもある。今作品ではテラさんが結婚し、週刊少年サンデー創刊とこの作品のキーとなる出来事が起きている。
この後はアシスタントを雇ったり、仕事場を向かいのウサギ荘に移し、もうあと2年もすればトキワ荘を出る事になる。トキワ荘を出たら漫画以外の生活描写が増えるのだろうか?
先日、あんなにお元気な姿を拝見した以上「完結できるのだろうか」などと野暮な事を考えるつもりは毛ほどない。逆に「どこまで書いてくれるのだろう」と思う方が強いわけで。
ついに『海の王子』まで来たわけですし、どうせなら「スタジオ・ゼロ」の話なども読みたいものです。スタジオ・ゼロトキワ荘の再現をやろうとしたわけですしね。
この巻で、満賀の目を通してテラさんの少年漫画への思いと満賀の葛藤が描かれる。理想と現実、そしてこの後テラさんが通った道を思うと「寺田ヒロオ」という人物がよく分かる一コマ。
しかし、相変わらず手塚先生に初めて会う様子やら、赤塚大ブレイクの件やら、飲み会オチやら、過去に書かれた場面の再録(と、いうのかな)が多いのは気になりますね。