成長する女の子が描かれるストーリー4コマ『Felice』
今回はまんがタイムきららCaratで連載中であり、先日単行本が発売されたばかりの『Felice』を語りたいと思います。「きらら4コマねぇ、どうせ可愛い女の子が雑談するだけの漫画なんでしょ?」とか言わずに読むべし読むべし。
ガサツで粗暴なロリ少女氷室凛は、幼馴染みの姉弟が経営する喫茶店「Felice」に入り浸る日々。ある時、不良に絡まれた灯里を助けたことで「女の子らしくしてあげます!」という勝手な行動に凛は振り回されることになり…。
- 作者: 門瀬粗
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2011/01/27
- メディア: コミック
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前作を経て発表された今作品は非常に「進化感」が強いです。前作ではキャラの差別化が上手く図れていなかった気がしますが、等身の低いキャラを主人公の添えることで今回は明らかにキャラクターの差別化に成功しています。むしろ、意図的というぐらいに等身を高く描いている気がします。それだけで、凄い読みやすい作品になっています。
今作品の特徴は4コマ漫画でありながら、時節の移り変わりが感じられ「成長の様子が見える」ということです。どうしても4コマ漫画というのは「終わらない日常」が延々と描かれるというタイプが多いため、成長要素が皆無というのが殆どです。その中で4コマ漫画としての「オチという宿題」をこなしつつ、成長の様子が描かれるというのは読み応えがあります。
面白いきらら4コマというのは、どれも「成長がある」「人間ドラマ」があるというのが強いと思います。むしろ、その両方がない4コマというのはあまり面白くない。「4コマで人間ドラマとか成長とかwwww」とかいう偏見を持つ方もいるかもしれませんが。単純でシンプルなだけが4コマではありません。むしろ、『みそララ』にしろ『うのはな三姉妹』にしろ人間ドラマが強く描かれている4コマが増えているのではないでしょうか。それはきらら4コマでも例外ではありません。『けいおん!』であれ『かなめも』であれ、その要素があります。(コント一辺倒で面白い作品もありますし、それも4コマの形です)
それから、ガサツで「子供である」凛の、男性キャラクターである「大地」への心境の変化が「徐々に」見られるのも見所の一つ。そもそも、きらら4コマでありながら「男性キャラがメインの中心に添えられている」というのは非常にレアなケースです。きらら4コマでは最近益々「女の子がキャッキャウフフするだけの作品」が増えているだけに…。
1巻終盤では、第3の女性キャラ玲亜が追加されることで、凛×大地の仲に投石が投じられます。凛と大地というルートはほぼ決定づけられているものの、今後のストーリー展開が気になるところです。そして単行本で書き下ろされた灯里の「友達がいない」という部分も今後のストーリーに絡んできそうな?
まぁ、私らしく「ここが可愛い!」というのも語ろうと思います。濃厚な4コマ漫画『Felice』今後が気になる漫画。なんにしろ作者の門瀬粗さんのブレない絵柄が可愛らしい。それだけで幸せな部分もあるのですよー!!
「女の子らしさ」を追求するはずが…。まぁ、この凛の「ズレてる」感じが良いんですよね。段々と成長していきますし、作中で思い悩む部分もあるんですけど、落とす部分落としてくれますし重くならないのです。それが心地よい読後感を作っていると思います。
私は灯里が一番好きなキャラクターです。女の子らしく可愛いのですが、策士的なブラックな一面が好きです。恋愛面も重要ですが、女の子のキャッキャウフフ要素を補充してくれる重要なキャラ。こういうキャラクターが漫画に変化を与える。
猫ちゃん枕を愛でる凛。門瀬先生の書く女の子の可愛らしさ。「台詞などいらない!」というぐらいに強いです。愛すべきヒロインが一人いるだけで漫画というのは10倍面白くなります。この凛を中心に大地、灯里のバランスも凄い良いんですよね。
喫茶店4コマというのは4コマとしては定番で『ねこきっさ』『僕の彼女はウェートレス』『はにーすぃーとティータイム 』等々数多くあります。しかし、舞台背景はあくまで舞台背景でしかなく、それを彩るキャラクターが4コマを作っていきます。喫茶店4コマ特集をいつかできればいいな、と思います。やふー!