書道したり、しなかったり、合宿したり、遊んだり。新感覚書道4コマ『墨色えれくとろ』

今回は『墨色えれくとろ』をご紹介。今作品は竹書房のNAMAIKI!で連載されていた作品。ぶっちゃけエロ漫画雑誌なので知名度は結構低いんじゃないかと思います。4コマ誌も沢山あるので対して雑誌を読まない方には同じかも…。でも、エロ雑誌って時々普通の4コマありますよね。何故でしょう。

女子高生・女子高生物部愛里は家が書道教室の娘。筆でノートをとる愛里がクラスメイトのモニカは気になってしょうがない。なし崩し的に友達になり、2人はモニカの友人である花と書道部(同好会)を結成することになり…。新感覚・えれくとろ書道4コマ漫画!

「えれくとろ書道漫画ってなんですか?」というツッコミはなしの方向で。

書道4コマ?

4コマ漫画では漫画の舞台にするために色々な部活が舞台になっています。オーソドックスなところからマニアックなものまでソフトボール部、水泳部、美術部、お嫁さん部…等々。「お嫁さん部ってなんだよ」と思われるかもしれませんが、『ホイップノート』『ハッピーカムカム』など意外とあります。今、お嫁さん部が静かなムーブメント!
で、この作品に選ばれたの舞台は書道部です。「まぁ、所詮4コマだし書道なんて全然しないんでしょ? 書道読みたいなら『とめはねっ!』でも読んでおけばいいでしょ?」と思われる方もいるでしょうが、個人的な感想としては思ったよりも書道をしているというのが私の印象です。当然ながら、書道漫画が読みたいなら『とめはねっ!』をお薦めしますけど。

第一話で「筆でノートをとる、達筆すぎて読めない」あたりはこの漫画大丈夫か?と不安になりましたが。主人公である愛里も思ったよりも浮き世離れしていませんし、その筆でノートをとる、字は全部草書というのも後々展開に活用されていてタダの一発ネタではなかったことも分かりモヤモヤはなくなりました。

それに指導者とか出てこないし、独学で大字書に挑んだりとやりたい放題だったりします。ま4コマ漫画ですしこれぐらいのノリが一番読みやすくて面白い!のではないでしょうか。この漫画は書道と学園生活のバランスが凄い良いんですよね。あんまり書道書道されても読みづらいですし、時折挿入される書道のエピソードがターニングポイントになったりもするので。
作品内で登場するこの言葉。


書道は文字に心を込める事が大切です。
心を込めることによってその字らしさが出て、自身の心も穏やかになれますよ。

私は書道を好きになれなかったので、楽しい書道をしてみたかったです。そんな気持ち。

形、デフォルメ、構図、絵柄に溢れる魅力

この漫画は基本オーソドックスで他の4コマ漫画と比べて目新しい部分はありません。なのに何故こんなにも魅了してくれるのか。それらの魅力を語ってみたいと思います。
この漫画の魅力は開放感があることというのが一つ。4コマ誌以外に掲載されていたので、ちょっと4コマのフォームが違うことが理由でしょうか。4コマ誌は沢山あるのに4コマとしての枠のフォームを崩す漫画は殆どないんです。ちょっと意外ではないですか?(一番オーソドックスで読みやすい形なんでしょうけどね)

4コマは枠に収めるためにデフォルメ化することが常々ですが、この漫画は特にそれが作者の絵柄も呼応して顕著だと思います。私がデフォルメ大好きだからプッシュしてるだけというのは置いておいて。なんかすげー「ポップ&キュート」なんですよね。私の好みにドストライクッ!! ポップ&キュートって80年代な雰囲気する言葉ですね。どうなの私のセンス。

最近の4コマ漫画は一枚絵しか書けないような作家さんも中にはいて構図がワンパターンな漫画も多くあります。あとは背景が真っ白な漫画とか、服装が一種類しかないとか。今作に関してはそれが豊かなだけで読み応えがあります。「絵が上手!」とか当たり前のこと言ってみる。結局面白い4コマというのは全作そのレベルはクリアしてるのデスヨネー。
あとちょっとエッチなのが素敵です。「ちょっとエッチ」なんて素敵な響きなんでしょう! イエス! 筆おろしを習字用語と勘違いしたりするからね!! ヒャッホーイ!! 筆おろしを習字用語だと思うモニカちゃんマジ可愛い。

毎日がスペシャル!


この漫画を私が好きな理由はキャッキャウフフがあることでしょうね。このカットとかマジ最高。百合作品だと百合中心になるし、全員が百合ッ子だったりしてバランスが悪い。この作品は特別百合なわけでもない、友達としての仲の良さが見ていて楽しいです。かといって、仲良し一辺倒でなく距離感みたいのもあって人間関係としても読んでいてどこか新鮮。

モニカの親友である花ちゃんはちびっ子で可愛いのに意外と性格悪いアホっ子で殆どそれが生かされてないのが痛い。あ、私としてはマジストライクでございます。今回マジストライクという言葉が何回か出てきますが気にしないでください。これが私の最大の賛辞の言葉です。さぁ、みんなで叫ぼう「マジドストライク!!」

花ちゃんマジ意味分かんない。


非常に面白くて1巻完結としてのまとまりが素晴らしいです。読み終えて思うことはなんでモニカはハーフだったんだろう…。ということでしょうか。殆どハーフという設定は生かされてないのだよなぁ…。英語ができないとか、巨乳とか下手な部分では生かされてるけど…。まぁ、巨乳は正義ですよね。

なんにしても、このポップ&キュート感はマジドストライク!! はっきりいってお薦めです!!
あとラストシーンがこれからも一緒だって感じで歩いていく4コマってすげー多いけどその最終回ってはっきりいって理想ですよね。さぁ、この漫画の最終回はどうなるのかドキドキですね。ネタバレなんかしてませんよ? 最後歩いていったりしませんよ? 走りはするかもしれませんけどね。さーて、みんなで考えよー!!


よ・だ・ん。
この漫画は4コマ誌ではなく竹書房のエロ系漫画雑誌に連載されたものです。おそらくですが、竹書房で過去にない萌え系の4コマだと思います。元々竹書房saxyunゆるめいつ)よろしく「萌え系のもやりたいんだろうけど、なんかやりきれない。やっぱり竹書房なんだよなぁ…。」的雑誌社でしたので。
今回発売された『墨色えれくとろ』は値段も819円で竹書房の4コマと値段の面でも異なっています。(本来だと619円から高くても700〜円程度)これを「4コマ誌でなくてエロ系漫画誌発信で成立したってどうなんよ。」と思うわけですが、まぁいいや…と思うことにします。これからの竹書房にご期待下さい!!