そろそろ真剣に双見酔を語るべきだろ 『双見酔 / セカイ魔王』

近況としてはAKB48に大ハマリしております。今までは有象無象としか見れていませんでしたが、人物像を知るとそれぞれにドラマがあって面白いですし、楽曲も悪くはないです。やっぱりアイドルはいいですね!! 以前はハロプロ大好きだったので「またここに戻ってきてしまったのか」感がありますが。皆様お元気でしょうか。
今回は双見酔特集と題して、新刊『セカイ魔王』を語りたいと思います。

「魔王」として目覚めた少女は、自らの分身「マオ」として「勇者」アルシャと共に旅を始める。己のルーツを探る旅の先にあるものとは。新感覚ファンタジー4コマ!!

ファンタジー4コマ新機軸 / 双見酔印象論
きららでファンタジー4コマといえば『棺担ぎのクロ』『境界線上のリンボ』が思い当たります。前者の2作品は高い画力でファンタジー世界を創造してきた作品です。『セカイ魔王』は双見酔さんの薄い画風から前者の作品の例には当てはまらないように思います。この作品に最も近い作品は4コマではありませんが、初期の『魔法陣グルグル』です。「RPGパロディ」こそがこの作品のキモ。すでに、魔王と勇者というのが伝説になった世界はグルグルのRPGパロディを彷彿します。
ある種、そういう遊び心のある作品はきららには殆どありませんでした。この『セカイ魔王』はきららでは新しいストーリー4コマを作っていると思います。



私的な印象としては「可愛い絵柄でエグいことをやる」が個人的な双見酔への私の印象。『空の上屋根の中』はニートちゃんが頑張って働くという感動的な物語で、就活時期に連載されてたので正直今でも読むのが辛いという。あの漫画は「面白い漫画」とは思いません。「双見酔らしい」漫画だな、と思います。
双見酔の武器は間違いなく「空気感」です。その空気感が捉えづらいのが問題なのでしょう。空気が特殊なだけで、双見酔の漫画はなにも特別ではないと思います。設定がブッ飛んでるわけでもなく、我が強い個性的なキャラクターがいるわけでもない。ちょっと、世界を斜めに見たような発想、『セカイ魔王』での見開きやRPGパロディ等々の尖った表現、なんとも儚い独特の画風…これらが組み合わさって「双見酔感」が形成されているのです。
双見酔は過小評価と過大評価の両方がされている…と書くと分かりづらいですけど、あまり評価しない人と異常に評価する人の二種類が極端に存在している印象があります。セカイ魔王はグッとコメディよりになっていますが、どちらかといえば「面白い漫画」というよりは「双見酔の漫画」という個性が勝ってしまっているから評価が分かれているのでしょうね。一種のコミティア的漫画、それが双見酔!!
某レビュアーさんが「レビューを書くにはその人の由来というか、同人誌を全部読まないといけないんですよぉぉ!!」と叫んでいたのを思い出します。うん、私双見酔さんの同人誌読んでなかったり。なんというか、同人誌なんて一期一会で一度読めないと一生巡り会えない可能性が高いわけで。私も好きな作家さんが多くいますが、再販が望めない同人誌が沢山あります…。誰か読書会に持ってきてください。


この先どうなるのか『セカイ魔王』
ネタバレになりますが本誌では勇者のルーツを探る「最弱勇者」編が終わっています。次は魔王のルーツを探る「腹ぺこさん」編。はっきりいって、先が気になってしょうがない!! きらら作品で最も次回が楽しみな作品かもしれません。この腹ぺこ編が終わった先がどうなるのかも気になります。
気になる理由に、この作品には多くの謎があります。魔王の存在とはなんのでしょうか。魔王は勇者に倒されては月日を経て蘇っているようです。まるで「勇者に倒されるために生まれた魔王」という存在には疑問が残ります。お気楽な4コマを装いつつ、酷く悲しそうな表情をする魔王を見ていると、魔王の存在は非常に悲しい存在なのかもしれません。

わたしはおとぎ話の住人

そう言い切ってしまう魔王には、勇者という存在だけが魔王を忘れずにいてくれる唯一の存在なのではないでしょうか。勇者の存在も伝説でしかない、と考えた時の魔王の表情はなんとも言えないものがあります。

まぁ、勇者だけでなく前回の戦争で生き残った変態的な強い魔物もいるようですが…。前回の戦争とかイマイチ不明な部分があるのでなんとも言えませんが。しかし、アルシャが勇者であることが否定されていない以上、いつか勇者と魔王が巡り会う時がくるでしょう。
勇者だから魔王を倒しに行くアルシャ。魔王だから勇者を待つマオ。2人が出会ったとき、それは幸せになるのか、不幸になるのか。どちらにしても思いっきり泣いて笑える最後が来ることを期待しています。…ただ、会わない可能性もありあますし、勿体ぶったあげくスカしオチもありえます、あとは自害エンドとか。だって、双見酔だし…(台無し。
まぁ、魔王だけでなく勇者の存在も謎ですよね。勇者の死亡例はないのに魔王を倒して祖国に帰ったという例はないとか…。先代の魔王と勇者の間にもなにかあったのでしょうか…。例えば和解エンドとか…ひょっとすると、魔王を一番理解することができる人間が勇者に選ばれるのではないか、だから弱いアルシャが勇者になった…とか妄想してみました。
この作品を読んでいて彷彿させる作品は「好きな子のために魔王になる」でお馴染みの『ダークローダーズ』でしょうか。私はこの作品が大好きなんですよね。庶民派魔王と勇者という展開はこの作品と似通った部分があると思います。是非是非『マンションズ&ドラゴンズ』『ダークローダーズ』を読みましょう。この二作品は本当に名作!! 4コマではないですけど、いつか名作特集で語りたいですね。


セカイと魔王
に、しても魔王様は可愛い。このタイトルにある『セカイ』とはいわゆるセカイ系(自分の前に存在している自意識だけが世界だと思いこむ)が由来していると思われます。記憶を失い自分の知っている景色だけがセカイとしか思えない魔王様。セカイが世界となったとき、魔王様はこの世界をどう思うのでしょうね。それこそ前述した限り分からないのですけど。
まぁ、なんにしても「かわいい服はいいものだと思います。私も興味あります。」と言う心は変わってほしくないものです。そして下着を上下白で統一する部分も変わってほしくないものです。この作品のキモはなんといっても可愛い少女の魔王様ですよね。こういう少女がいるから双見漫画は素晴らしい。少女さいっこう!!
個人的に、突然現れた扉の向こうに消えたアルシャの場面で、「扉の先がこの城だったら?」と記録係に尋ねられて、身だしなみを整える魔王様が好きです。魔王といっても等身大の女の子だもんね!! 少女さいっこう!! 『ロリコンフェニックス』もそうですけど、変態と少女のマッチングは最高ですね(そうですね! え、なにこのラスト…。


と、いうわけで双見酔特集でした。それではまた次回。そろそろ年の瀬なので頑張っていきたいと思います。コメントをくれる方には心から励まされています。ありがとうございます。