ツッコミ不在の乱打戦! 異質4コマ『△コンプレックス(鴨鳴アヒル)』が面白い

うーす、八戸です。HKT48の『スキ!スキ!スキップ』が大名曲ー。
そんな感じの近況。更新ちょっと空きましたが、まぁ色々理由なんかはのちのち。


今回は今年一番(げんじてんで〜)のプッシュ作『△(さんかく)コンプレックス』をご紹介。

ある日突然、クラスメイトの鋼音と「夫婦」を演じることになった円。最初は戸惑うばかりだった彼女の中に、いつしか芽生えたその気持ちの名前は――。新鋭・鴨鳴アヒルが描き出す、空より青く春よりあたたかな恋愛譚。


高らかに好きだと言える異質性
この作品は「根本的におかしい」ビックリするぐらいツッコミ不在。「許嫁がきたらいきなり学校をやめろ」とかどーう考えてもおかしい。「許嫁を断るためにガチ百合だと宣言」とかどーう考えてもおかしい。まぁ、ツッコミどころはたくさんあるわけですが。後付でエピソード出てくるけど円と鋼音が一緒に住んでるとか。女の子同士の恋愛・結婚にツッコミがないとか。常識無視のぶっ飛んだ作品ではないのでフォローはありますけどね。
まぁ、そういうフォローもあってツッコミどころは案外違和感なく読むことができます。うん。この作品はおかしな部分が大量に存在してるからそれが普通に感じちゃうんだね☆ いやぁーは! 円を中心に終始おかしなハイテンションで進行するのが面白い。その一方で円を中心に非常に繊細な感情が描かれています。ハイテンションな動の面、静の面、その二つの側面が混在している。その変化が読みごたえがあります。
きらら系の4コマには恋愛要素があるものがそもそも少ないですが、その中で恋愛要素なりストーリー要素がある作品があってもとにかく展開が遅いです。『CIRCLEさーくる』なんて展開が徐々に動くのに5巻までかかったからね! まぁ、恋愛漫画なんてのはゴールにたどり着いたら終わりですから、展開が遅いのが習わしかもしれませんが。

その一方でこの作品とにかく展開が早いっ。1巻だけで円が本当に鋼音を好きになって、鋼太が鋼音にひのりに心動いて、再度鋼音に告白して、円も鋼音に告白して…怒涛の展開すぎるやろー!! と、いうわけです。あまりにも展開が早すぎて1巻完結で終わるかと思いきや、嬉しいことに終わりませんでした。

てっきり、「鋼太告白→家族でいよう→円再度告白→演技は終わり」的展開で、『俺たちの百合はこれからだ!』という関係性で終わると思っていました。ひのりに心動きつつも鋼音が好きな鋼太、完全に鋼太を吹っ切ってない鋼音。「百合一辺倒」でいくには鋼音は鋼太を意識しすぎかな、と。ひのり⇔鋼太⇔鋼音」の△関係。その辺が△なんですよねー!! △!! 「コンプレックス」の部分は胸がない円!!
この△の部分が面白いのですよね。百合作品なら基本百合一辺倒なのが普通ですし、男女の恋愛をテーマにしていればヒロインが百合に傾くわけありませんから。まぁ、読む人によっては「鋼太⇔ひのりでラブズッキュンやないか!」と思われるかもしれませんが。百合のみを求めてる人には物足りないかもしれませんが。両方求めてる人には幕ノ内弁当みたいなお得感があると思います。

まぁ、これだけ疑心暗鬼をしても案外普通に2巻完結で普通にカップルが2組誕生して終わるかもしれませんが。円の健気さには涙が出てきますし、円には幸せになっていただきたいですしね。でも、幸せにならない「一時の青春」みたいなカタルシスで諦める展開もそれはそれで美しいと思うんですよ。あくまで「百合は百合」ですからね。
こういう作品を読むと「やっぱりきららMAXって面白いなぁ。」と思うわけで。多分、きららMAXだからこの「異質感」が成立してる気がするのです。多分上手くいかないと『もうダメかもしれない』『ねこのひたいであそぶ』『忍パラサイト』みたいに「あれー?」という調子で自動消滅してしまう危うさも危惧していますが。そう思いつつ、この作品の「ズレた異質感」を大切にして読んでいきたいわけで。





この作品は面白いです。ただ「万人受けする作品か?」そう尋ねられたら「万人受けする作品ではありません。」と私は答えます。間口が広いとはいえない4コマでさらに間口が狭い作品でしょう。私がポイントとしてあげたテンションの高さ、百合、ギャグ、とっつきにくく受け入れづらい部分も多々あると思います。その異質感にとって余るほどメインキャラはもちろんサブキャラも魅力的に描かれており細部にわたって魅力的な作品です。サブキャラみんながみんな癖が強くて印象的。
多分、この作品は黙っていても手に取られる作品ではないと思います。だからこそ、この作品は面白い! そう私は声を大にして言いたい! つまりはこういうことです。「多分面白いから読んでねっ!!」って感じ。『スイーツどんぶり』にも言えたことだけど、平面でツルツルな誰もが受け入れられる作品もいいっちゃいいけど、ちょっとゴツゴツしてて個性的な作品のほうが印象に残るんですよね。


あれだなー、あれ。ひのりちゃんめっちゃ可愛いけど、鋼太は鋼音を諦めてほしくないんですよね。ひのりちゃんを愛人にすればいいんだよなぁ。多分ひのりちゃんはダメな男好きだから愛人関係でも満足すると思うんだよね!!! …あれ、最後がこんな締めでいいのかな。いいよねー。