ファミリー4コマ、萌え4コマ。どちらの読者層にも届くべき作品『クール教信者 / 小森さんは断れない!』を読もう!。

うすー八戸です。元気です。最近はライブよく行ってます。YATSUIフェスティバル最高でした。
と、近況もそこそこに今回は『小森さんは断れない!!』をご紹介。

優しすぎてNOと言えない、女子中学生・小森しゅり(14)断らない小森さんを暖かくも優しく見守る友達たち。そんな小森さんのゆかいな憂う日々。 Webコミック界の雄『ピーチボーイリバーサイド』のクール教信者、 商業誌初の連載がコミックス化!!

この作品を読んだときの印象に一番近いのは「アキタランド・ゴシック」を読んだ時の感覚でしょうか。白と黒のコントラスト、どこか憂い気な部分、シュールかつブラックな部分、それでいて子供っぽい部分。それを学園4コマでやってるのが面白い。ファンタジー世界である『アキタランド』と並んで日常でファンタジーを感じさせる。そんな4コマ、だというのを念頭に置きつつ読むと面白いかもしれません。序盤、中盤、終盤、がらっと印象変わる作品ですよ。


キャラクターを掘り下げるということ
今の学園4コマは玉石混淆である程度のパターンがテンプレ化してるので一番簡単であり難しい4コマになってます。その中で「毒にも薬にもならない作品」になるか「記憶に残る作品」どちらになるかは難しいライン。まぁ、そういうのは狙う狙わないの次元ではないのでしょうけど。作品を作る人すべてが後者を目指してるでしょうから。最近は単純なガールズ学園4コマではなく「キャラクター」を強調した作品が多いな、と。例えば「笑って外村さん」なら主人公が周りの生徒に怖がられている「ヤンキーキャラ」を強調し、「みもりロックオン」なら主人公が憧れの生徒にストーカーまがいの行為をしてる「ストーカーキャラ」というのを強調しています。
そういった作品はインパクトがあって記憶に残りやすいです。ただ、そういうキャラクターのインパクトだけで進めようとすると、どうしても作品としてワンパターンになりがちで読んでいて飽きが早くきます。途中で方向転換すればいいのにそれもしない。例を出せば『宮川家の空腹』のようにひたすら貧乏ネタをやるしかない「広がりがない作品」になりがちです。なにより同じパターンしかないから広がりもなく、作品として中身もはっきりいってない。テンプレのみのコントを見せられてる気分でキャラクターにあまり感情移入もできません。序盤はそのキャラクターが面白いから読めるんですけど。
この作品も序盤から中盤にかけてそんな印象でしたが、途中からメインキャラクターの掘り下げがはじまって面白い。メインキャラクターは小森さん含めて3人しかいませんが、その3人の掘り下げっぷりが凄いから読んでいて飽きがこない。断らない小森さん、ムードメーカーであるめぐみ、シニカルである根岸さん…とそれぞれが決まった属性を持っている中で、断らない小森さんは断ること、断らないことを学んでいき、ムードメーカーであるめぐみは打たれ弱い部分や過去との葛藤などが明かされていき、シニカルな彼女は学級委員長をやる中、小森さんと付き合う中で人間味のある部分が露わになっていき、そうやって各々をコミカルにシニカルにキャラクターの内面を提示していきます。

(ムードメーカーであるめぐみが見せるナンパへの怯え。)

(シニカルな根岸さんが見せる恥ずかしげな表情。)
こういう内面・表情を描写するのは簡単なように見えて難しいことで多くの4コマ作品がやろうとしてできてないことです。その中で「ひだまりスケッチ」でも「GA」でも「イチロー!」でも、読んでいて心に残る作品というのはキャラクターの掘り下げに成功してるから作品に厚みがあります。まぁ、「ゆゆ式」「せんせいになれません」みたくその辺のデティールを詳細にしないでも面白い例もありますけどね。
まぁ、「小森さんは断らない」のいい部分はそうやって人物をシニカルな要素を含めて描写していく中で、ちゃんとギャグ4コマとしてバカやってるからいいんですよね。シュールかつブラックな雰囲気を持ちつつも、小森さんの人柄も相まってハートフルなギャグ4コマになってます。いい話だけ書こうとしたり、その要素に傾きすぎてギャグ4コマとして成立してない作品なんてつまんないですからね。よくありがちですけどー。


ここが好き

この作品を個性的にしてる一番の効果はトーンの頻度が少ないことだと思います。元々ネット漫画からスタートしたためあまり絵を整える必要がなかったことからトーンが少なく、それがこの作品にも生かされており「白と黒」のコントラストが美しい。どこか冷淡な雰囲気はここから作られていると思います。ただ、前述したキャラクターの掘り下げで感情豊かに描かれているため機械的な印象がない。その両方の側面を持つから面白い。

クール教信者さんの作品はどこかリアルで他の4コマにはない生々しさが漂うんですよね。「旦那がなにを言っているかわからない件」では男女の関係をファンタジーな世界観でリアルに描いてます。作品全体に漂う「真夏にセックスをした後の蒸し暑さ」みたいな生臭さが大好きです。さすがに小森さんに関してはその生臭さが抑え目なのですが、残念なようなそれでいいような。

最近はもう大人のレビューサイトになるぞ!的気分でDD気質は封印してましたが、久々に赴くままに。個人的にはめぐみちゃん大好き!! 活発なアホの子たまらない! ナンパされたら怖くて「一人怖い!」みたいに弱くなっちゃうところとかもう凌辱展開だよね! ひゃっほーい!! 昔は暗かったとか、小森さんなしじゃダメとかはすはすしたくなります。あー、ぺったんぺたんたっぽいしもうドストライク!! 小森さんもエロいですよね! 根岸さんに開発されていく展開が読みたいなぁー。
タイトルからして「小森さんは断らない」ってあたりで、もうエロいこととか頼みたくなりますよね。「胸で挟んでください!!」とか。根岸さんに踏まれたいなぁ…。縛られるだけでもいいんだよ。こう、欲望に忠実に生きたいぐらいには好きな作品です。…じゃあ、冷静に。個性的な絵柄、綿密かつ繊細な人物描写、詩的に綴られる日々。どこをとっても魅力的な4コマ漫画だと思います。萌え4コマ、ファミリー4コマ、どちらの派閥でも読まれておかしくない作品。お勧めです。


それでは、また次回。