この4コマが可愛い! 『オトメシュラン(王嶋環)』をオススメます!

ご無沙汰してます。10月で仕事場は異動になりアタフタしててなかなか更新の暇もとれず。徐々に復帰していきたいですね、そろそろ年末ですし。鍋がおいしい季節になってきました。軽めの更新で徐々に本調子にしていきたいですね。ワンチャンス!

今回は『オトメシュラン』です。ちょっと今更感があるかもしれませんが、この作品は私が昨年の『このマンガがすごい!』で一位にあげた作品です。今まで紹介しておらず、今回2巻が発売されたため改めて語ろうかと。私は基本的に変な個性のある作品が好きなんですけど、この作品に関しては珍しくそういう派手な部分も変わった個性もない安定した作品です。「なんで好きなんだろう?」と思うと、ちょっと言葉に表しづらいです。聞こえは悪いかもしれませんが、特別際立った個性があるわけではないからです。
好きな作品でも手放しで絶賛できない作品が数多くあります。4コマは積み重ねなぶん一つの行動でそのキャラクター、並びに作品の雰囲気を好きにも嫌いにもなります。そういう意味で、この作品は「嫌みがない」というのが大きいかもしれません。イケメンのシェフの話…だと嫌みな作品になっていたかもしれませんが、主人公であるシェフはイケメンだけど女性で乙女。でも、周りからは女性とは認識されてないで…という設定は読んでいて楽しいですし、主人公がとにかくも可愛い。萌えとかとは違う可愛さです。女性漫画家さんの作品ですが中性的なタッチなので読みやすいです。ただただ、安定して面白いです。
4コマなんてのも、一部の萌え4コマを別にすると「ただの学園物」なんてのはないに等しいです。学園物でもなにか変った部活など新しいパターンを模索し一捻りを加えた作品が多いのが実際。そうしないと差別化がはかれず地味な作品になってしまうのでしょう。社会人4コマも一緒で一般的な会社員や教師などの職業だけではパターンが決まってしまいます。だから、ペットショップ、家庭教師、水族館、駅員、病院…、色々な職業が作品の舞台になってきます。
全て体験したことを書くのが漫画ではありませんが、体験していないことでも下調べの有無、どう知らないことでもリアルに書くかが作品の出来を左右します。それが甘い作品は「お仕事漫画」ではなく、お仕事を舞台にしてるだけの薄っぺらい作品になります。4コマ漫画も社会人をメインに書くと「仕事」がテーマになってきますが、それをリアルに描写しているか、それとも想像で適当に書いているか。読者は正直ですから読めばすぐに分かります。この作品ではフレンチレストランをメインにしていますが、想像で書いていると感じられる部分もあるものの全体的に読んでいて違和感がありません。ただ舞台として存在してるのではなくて、内容に上手くレストランが関わってくるから薄っぺらい作品にならない。だからこそ読み応えがあります。


それぞれのキャラクターの個性が立っていて、ある程度パターン化されててお約束を守りつつもマンネリ化せず、新たな一面が見えてくるのが面白いところ。私は結構同じ設定だと飽きちゃうんですけど(2巻を買わないことも多いです。)、1巻ではキャラクターの個性の把握、そこからどうなるんだろう?と2巻を読みたくなる魅力がありました。そして、2巻からは新たなキャラクターが登場したり、主人公の恋の行方など見所も多いです。
恐らくは3巻完結だとは思いますが、最後まで読みたくなる作品です。王嶋さんの作品は基本ギャグなんですけど、血が通った人間性が見えるギャグなので心地よいんですよね。あんまり4コマ漫画を読んで「笑う」というのは、私はあまりないんですけど久々に笑えました。まぁ、そんなゲラゲラ笑うギャグ作品でもないんですけど、まぁ、とにかくも主人公のヨウさんが可愛い。イケメンだけど可愛い。あとは地味な存在ですけど、従業員の慎太がツッコミ担当としていい味出してます。慎太が成長しつつ、成長してないというのが読みどころではありますが、個人的には慎太の成長物語のような骨太の作品も読んでみたいです。
ヨウさんは萌えキャラですけど、押し売りみたいな萌えキャラでもない男装女子的な萌えなので新鮮。そうか、イケメンでも萌えるんだ!! という新たな境地すら感じます。イイネ!! そうだ、男装カフェに行こう!! 


作者の王嶋環さんは軽めのギャグに定評があるからこそ、その要素を取り入れつつも骨太なシリアス寄りの話も読んでみたいものですね。4コマのスケール感が凄いピッタリ合った作家さん。いい下品感と爽快感があります。こういう「末永く応援したい作家さん」がいることは幸せだと思います。この軽い感じが好きになれない方もいるかもしれませんが、お勧めです!