- 作者: 博
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2010/09/27
- メディア: コミック
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黒髪ロングの水槽大好きっ子、不器用な金髪ツインテ。−二人の運命を動かす、そこには『アクアリウム』があった。
今回は『アクアリウム』に存在する「空気感」を紹介します。
私が考えるに近年の4コマには幾つかの種類があります。
日常延々4コマ…最も多い。殆どこれ。
日常系ストーリー4コマ…日常を描きつつストーリーが進んでいく。『けいおん!』
ストーリー4コマ…まんまストーリー。『棺担ぎのクロ』『境界線上のリンボ』
他にもファンタジー日常4コマとか分類分けをすると大量になるので割愛。
『アクアリウム』は日常系ストーリー4コマに属するわけですが、他の4コマにはない「空気感」を醸し出しています。
『けいおん!』のアニメにあったような「背景の一種のような日常の空気」を漫画で表現しています。
1コマ目の角度について考えてみる。
この雰囲気が『アクアリウム』笑いはないですが、背景とキャラクター、簡素である最低限の台詞が今しかない日常を感じます。ヒロインの顔が出ていない、そこからなにを想像するか。こんな尖った表現は4コマでは珍しいです。
もう一つは「無言で繰り広げられる描写が作る空気」です。
完全なる無言もありますが、最低限の台詞のみで進行する空気感がなんとも言えない。
『らいか・デイズ』のむんこ先生も無言を武器にしますが、また違ったタイプの無言が繰り広げられます。
(ある種、むんこ先生は無言の世界を意識しすぎててわざとらしい部分も…)
告白され、断る自分に嫌悪感を感じる主人公。
これはストーリー漫画で書かれればなんてことはないコマですが、4コマで書かれることで「間」が生まれます。
ここでも1コマ目で表情を見せつつ、あとのコマでは見せない。
この「空気感」に注目して読むと作品をより味わい深く楽しめるのではないでしょうか。
どうしても萌えのイメージが強い「まんがタイムきらら」の系統ですが、このような叙情的な作品が生まれるのが素晴らしい。その叙情的な雰囲気は絵柄もそうですが、登場するヒロイン二人がその雰囲気を作っています。
少女漫画に近い空気があり、絵柄の古臭さが『アクアリウム』の世界観を作っています。
地味な印象を受けますが、他の4コマに埋没しない「力」を持っています。
この少女感は少女漫画ですら珍しいのではないでしょうか。ただ、高校生にしては少し幼く見えるかもしれませんね。
逆に、従来の4コマ好きにはあまりにも笑いが少なく『けいおん!』以上に違和感を感じるかもしれません。
台詞なんていらない。
友達を作ることができない、不器用な女の子。そこから一歩踏み出す、その時。
私はこの作品を「女の子の成長物語」として読んでいます。恋愛だけではない、人と出会い変わっていく女の子の成長。頑張っている女の子は可愛いよ!!
単純に「さおりかわぇぇぇぇ!」でも良いと思います。