- 作者: ざら
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2007/03/27
- メディア: コミック
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私はこの漫画大好きなので、今回はその魅力を伝えるための紹介です。
予備知識がない方に向けて説明すると
主人公である境ふおんと完璧超人・交流(あける)の日常を描いたドタバタ4コマ。
境ふおん。一番左。遊びの天才。狂言廻しで周りを"コネクト"する存在。
三科品交流。完璧超人。ポーカーフェイス。他人と交わるの嫌い。
夕ちゃん。永遠の幼女教師。ダメ人間。
三科品通果。並盛。普通。
これらのキャラクターが織りなす、テーマ的としては高校生の日常4コマというよくある題材です。
しかし、この『ふおんコネクト』は3つの要素が加わることで他の漫画とは圧倒的に違う差別化が図られています。
その他の漫画とは違うといえる所以である、三つの要素を紹介したいと思います。
1.複雑な人間関係、交差する感情
『けいおん!』が「キャラの可愛さを中心に軽いタッチで描かれる」なら、『ふおんコネクト』は「異常に濃い漫画」です。
1回読んだだけでは理解できない、そんな濃密な人間関係及び感情が4コマ漫画内に込められています。
この作品はファンタジー(RPG的な意味ではなく)なので、理屈で考えると「変」だったりする部分があります。
ですが、そのアクの強さがこの作品の魅力だと思います。
人間関係だけでもスパゲッティ血縁と呼べるような複雑な関係が…。
この人間関係も原作4巻のうちに成長、進展していきます。それも読み応えあり。
2.奇想天外自由奔放
1でこの作品はファンタジーであると書きました。普通の話でも普通には決して書かれません。
補習でTRPGをしたり、生徒会選挙で候補者が異常に乱立したり、進路を決めるのに全員を同じ大学に行かせるのに暗躍したり…。とにかく、遊び心満載で濃いのです(多分、濃いという言葉が多く出ますが気にしないでください)。
そして、内容もそうですが、この漫画は台詞や言葉の使い回しが素敵です。
それらの演出が非常に上手く、他の4コマにはない印象を残してくれます。
逆にその演出過多が「極端な好き・嫌い」を作る原因の一つでもありますが…。
とりあえず、私の紹介だけで使い回しを堪能するのは難しいので「おかしな話」を紹介してみましょう。
補習でTRPGをする。
桃太郎をベースにTRPG。クラスメイトが子分、主人公が桃太郎です。
この話もこち亀であったようなアンチ桃太郎な要素たっぷり。
さて、予防摂取をうけてない犬に噛まれたら…どうなるか分かりますか? 続きはコミックスで!!
エイプリルフール「幸せになる嘘限定!」で1話丸々妄想話。これをやっちゃうのが凄い。
妄想授業スタート!! 9時の再放送が見れるなんて夢のよう。
卒業する3年生と学校の行ってない場所を冒険。
できなければ、やり方を変えればいい。こういう言い回しが素敵。
その話では、最後に屋上で卒業生にメッセージを送ります。「HOW,s your new quest?」(あなたの新しい冒険はどうですか?)このセンス、大好きです。
絵のタッチを変えてみたり。エロス大王!! 元巻さんは可愛いよ!
3.パロディ
この作品を知ってる人なら一番の魅力にあげる作品内に散りばめられた濃い濃いパロディ。
一番はじめのキャラクター紹介を見て、なんとなく想像できるのではないでしょうか。
4コマというのはパッパッと読むイメージがありますが、この漫画の場合背景をはじめとして非常に書き込みが多く、画面の中に数個のパロディが隠されています。
そのため情報量が異常に多く、この要素は読む人を選ぶ部分でもあります。プラスでありマイナスなのです。
実際「ゴチャゴチャして読みづらい」「なんか苦手」という意見もよく目にします。
(なお、パロディ解説については私が管理人をしているwiki(http://www12.atwiki.jp/zara_paro)を読んでください。)
そのパロディはキャラクターの人間性を別角度から増幅させる意味があります。
些細な背景にも仕込みますが、オタクであるふおん、夕ちゃんなどは意図的にパロディが多いのです。
ただし、パロディはあくまでスパイスでありメインではありません。作品を構成する要素の一つに過ぎないのです。
パロディを仕込みに仕込んでもまったく説明はないのです。何故でしょうか?(作品内での説明は不可能としても。
評論同人『5M』のメールインタビューで、パロディについてざら先生はこう答えています。
注意しているのはパロディが無くてもオチやストーリーが成立することです。
ためしにパロディを全て無視して読んでくださってもおおむね理解できるかと…。プラモの回など例外もありますが。
ストーリーに関わる、マニアネタやパロディはその世界に必要とされてる「小道具」だと思ってください。「3丁目の夕日」の怪獣映画みたいに。
あくまでパロディは小道具であり、メインはキャラクターです。その小道具が充実しているのが『ふおんコネクト』の面白さに繋がっているのです。
だが、小道具は読者を楽しませる「ファンサービス」であり、気づかなければ気づかないで問題ない、それが『ふおんコネクト』が広く愛されている理由だと思います。現在good!アフタヌーンで連載されている『うちはおおきい』ではほぼ意図的にパロディ要素が排除されており、パロディがなくても作品が成立するのは作者の理解の範疇です。
だから、「パロディが凄い!」と紹介されるのは私には心外です。…と、長々と書いてまいりました。
上に使ったキャラクター紹介も全てパロディなように遊び心が素晴らしいっ! そのパロディ選をお送りします。
スイカ割りで牙突!(るろうに剣心)
議論の場面で逆転裁判。元巻さんの顔がガラスの仮面も?
質問コーナーでなぜなにナデシコ。
夕ちゃんがターンAガンダム。
扉絵で「トップをねらえ!」
扉絵で「マクロスF」
連載経緯でまんが道。
この「ふおんコネクト」は是非是非お薦めします。
その魅力を伝えたくて長々書きましたが、1割ぐらいは伝わったでしょうか。
4巻まで発売して完結していますので気軽にお手にどうぞ。
そして、読んだ方は私が前回書いた考察記事も読んでいただけばと思います。
おそらく、こういう4コマは二度と出てこないと思うので。多分、けいおん!もそんな作品。