この漫画は一体どこに行くのか!? 最恐の4コマ漫画「やみのさんしまい」

今回は2巻が発売されたばかりの「やみのさんしまい」をご紹介。前回、「非4コマ誌の4コマは自由で面白い」と書いたばかりですが、今作品もその要素が十分にあります。十分すぎるほどです。十分すぎて困るぐらいです。そんな漫画です…。もう↓の表紙の時点で凄いんです。(これだと縮小されて分からないでしょうが…。)

やみのさんしまい(2) (シリウスKC)

やみのさんしまい(2) (シリウスKC)

網野家は三姉妹。三女で小学生のマコちゃんは普通の女の子。しかし、長女キコは極度のオカルト・ホラーマニア、次女アコは常に面をつけ悪魔を崇拝している。そんな2人と本人の邪悪性からマコは"呪われた少女"としてクラスメイト、先生、近所にも恐れられるのだった…。


月刊シリウスで連載中の日常系4コマ漫画ですが、まさに「なんだこのマンガは!?」と叫ばざるをえない。よくある日常系4コマなのに主人公にクラスメイトの男の子が勝手に部下になって暗躍しはじめたり、客を恐怖に叩き込んだことで銭湯を出入り禁止になったり…、長女と次女がラジオ体操のテープを悪魔を崇拝するテープに変えたり…こんなことが日常茶飯事で起きるのですから。自由すぎるだろ。

どこにいくんだこの漫画は。マジで。
マコちゃんは普通の女の子なんですが、姉たちのおかげでクラスメイト等からはこの世の災厄を一身に背負った恐怖の魔女と思われています。まるで悪魔のような顔をしていることから恐怖の不良と思われる北野(エンジェル学園)何もしてないのに最強の番長だと思われている外村さん(笑って!外村さんのようです。

まぁ、マコちゃんも一人で全ての七不思議になる実力の持ち主ですので、本人にも原因がないとはとても言えませんが。まぁ、アイスクリームを食べているだけで刃物を舐めながら歩いていると思われるので、もはやマコちゃんが普通だと抵抗を続けたところで世間には無駄なのかもしれません

(左から三女マコちゃん、次女アコ、長女キコ)
まぁ、言いたいことは分かりますよ。「どこからつっこんでいいのか分からない」ということでしょう。これは三姉妹で楽しい遠足に行く一場面です。この姉たちのおかげでマコちゃんは大変な目に合うわけです。そんなマコちゃんを暖かく見守る漫画です。本当ならメイン三人の紹介をするべきなのかもしれませんが、異常性を語り尽くせません


狂った日常と狂ったキャラ
この漫画は異常なキャラが多すぎます。特に私が好きな異常キャラを紹介!! ああ、ごめんなさい。この漫画異常なキャラしかいませんでした。

成井秀吉
マコを崇拝しており、部下になろうとしています。勿論、マコはガン無視していますが。彼の努力は恐ろしいものがありクラスの給食に洗脳薬を混ぜたり、マコが欲しがっていた正義物のフィギュアを敵対心を燃やしているのだと思い、店から買い占めて公開処刑として破壊したりヒットラーが重低音を流して威圧感を持たしていたと知るとマコのランドセルに重低音が鳴る装置をつけたりと色々やらかしてくれます。


彼の行動はそれだけでは収まりません。夏休みに愚民洗脳のために「ハイル・マコサマ・マーチ」フル3DCGアニメPVを作ったり、爆破テロをしたりetcetc...もう、秀吉を部下に認めてやってくれよマコ!!と思わざるをえません。ええ、とにかく面白いです。誰か彼を止めてやってください。お願いします。


三姉妹(マコちゃんを除く)も異常ですが、最も異常なのはマコちゃんの担任の先生です。紹介文の時点でおかしいです。

小野寺菊理
マコのクラスの担任。
マコを倒そうとしている。

ちょっと待て。…と、ツッコみたいところですが本気だから恐ろしい。その担任先生は2巻途中で魔槍ゲイボルグでマコちゃんを刺し殺そうとするんですよ。そこを給食のおばちゃんが乱入してマコちゃんを救ってくれるのですが、そのおばちゃんもマコちゃんをナイフで刺し、クラスには悲鳴と唖然とするマコちゃん…。そして次回へ続く…。ネタバレしますとね、私もその場面が非常に気になっていて・・・。
「ちょっと待ってくれ。なにを言っているのか分からないぞ。話を整理しよう、ブラザー。君ははじめに日常系4コマ漫画と言ったじゃないか。魔槍ゲイボルグ? おばちゃんが助けてくれる? そのおばちゃんに刺される? HAHAHA!! とんだクレイジーな話だ。君の世界にはそういう風習でもあるのかい? そんな日常系4コマがあるわけがないだろ!! くだらない話はやめて僕の話を聞きたまへ。ところで昨日の夕飯の話だがワイフが・・・」





















あるから困る。
この漫画の面白い部分は「ありえない現象をいかに日常的にオチをつけるか」という部分だと思います。今までにもこのような、非日常系4コマはありましたが(ホラーっぽい投げっぱなしショートショートギャグ含め)この漫画はキャラ付けが異常にしっかりしている上にちゃんとオチをつけ、日常に回帰している点が凄い! 4コマとしても新たな世界観発掘しています。
普通、ここまでぶっ飛んだら日常に回帰はとてもできない!と思いますが、この漫画の場合はそのぶっ飛んだネタをしっかり回収して日常に回帰しているのです。ぶっちゃけ、下手なストーリー漫画より先が楽しみです。


今回ほど面白いのにそれを伝える言葉が見つからない漫画ははじめでした。本当にどうなるのでしょうか、この漫画は。どうにもならないのでしょうか。願わくばマコちゃんが恐怖の大王にはならずに善良な市民として幸せになってほしい!!と願わざるをえません。ええ、無理かもしれませんが。
ところで、全18巻の予定らしいですが本気でしょうか(カバー折返しには18巻までの仮サブタイトルが記載されている)。この勢いですと、15巻の頃には登場人物の半分は死んでるんじゃないでしょうか。マジで。少なくとも2巻までに入退院を繰り返し、一度の精神崩壊を経験してる委員長が五体満足で生きているとは思えない。一体どうなるのでしょうか…。ああ、委員長が気になる方も読んでみてください。
この本は装丁も面白いので是非手に取ってみてください。この作品では嘔吐物が2回程出てくる以外はグロとかないのでホラー嫌いにもお薦めできます。1巻が面白かったら間違いなく2巻も面白いですので手に取ってみてくださいね。悪夢が見たいのならばな!!(悪夢が見たいのならば!とお薦めする漫画レビューサイトがかつてあっただろうか)


あ、長女は黒髪ロングです(一応)