4コマの概念を超えた!! バカ4コマ『スイーツどんぶり(FBC)』がスゴい!!

今年の目標は更新を多くすることです。やっぱり、去年は更新少なかったんで。文章は書けば書くほど帰ってくることもあると思うんで、今年は更新を頑張ります。うにー。
今回はすでに今年のナンバーワンインパクト4コマ決定の声で名高いスイーツどんぶりをご紹介。ここまでキワ物の4コマは道満先生の『ぱら★いぞ』以来だと思うんですけど、いかがでしょーか。きららだとベクトルは違えど『ふおんコネクト』に並ぶキワ物具合。キワ物って褒め言葉ですよね、違うならゲテモノでいいですよ。ゲテモノとか大好きー。イェイ!

"ジャッカル"の通り名を持つ最強の不良・柿崎志保子。そんな彼女も恋をして、アピールすべく手料理に挑む…!無敵の女子高生料理人・酒井暁美と"神の舌"栗原静香の協力を得て、今日も作るぜ目玉焼き(青)!! 空前絶後の料理(?)4コマ、水着もあるよ!!!

まず、この表紙が素晴らしい! このストⅡ…と、いうか90年代格闘ゲーム風のイラストはすげー涙腺に触れる方多いんじゃないでしょうか。もう、ゲーメスト世代ありがとう!って感じですね。2巻もこのテイストでお願いしたいものです。


この作品のジャンルはズバリ、バカ!!

当初は萌え4コマらしい4コマを描こうと思っていたのですが「右にならえアプローチで誰も喜んでくれなかったとき自分は納得できるのか」
「皆もうそんなテンプレじみた萌え4コマ飽きてるんじゃないか」などと色々と思い悩んだ挙句
「何が売れるかなんて誰にもわからないんです。僕たちは自分が良いと思う作品を作るまでですよ。それでダメだったら潔く死にましょう」という金言を思い出し、こうなりました(7話)

と、あとがきに書かれているとおり7話を転機に不良だった女の子が好きな男の子のために苦手な料理に挑戦するという漫画から謎の組織「LIFE」と料理対決をするという格闘バトル4コマになっていきます。美少女が出てくる、料理知識は全く出てこない、それを除いてノリだけでいえば最も近い作品は『鉄鍋のジャン』ではないでしょうか。あくまで演出重視、という意味で。
なかなかここまで「凄いバカ」に特化した作品はありません。元々4コマにはギャグに特化した作品が少ないわけですが、その中でギャグに特化した4コマ作品は『キルミーベイベー』『○本の住人』をはじめそのギャグのベクトルは比較的「シュール」になりがちです。「凄いバカ」寄りの作品を思い返すと『雅さんちの戦闘事情』ぐらいしか思いつきません。そもそも「凄いバカ」なんて括りはそもそもないわけですが。それぐらい珍しい括りということ。ちなみに『雅さん家の戦闘事情』という作品は主人公がバカで百合で女の子のパンツがいっぱい出て女の子が怪獣と戦うという作品で…、まあ、簡単な話バカな作品です。そんな作品と並ぶぐらい『スイーツどんぶり』はバカな作品なわけで。それをあくまで「学園4コマ」という日常の括りから飛び出ないで続いてるあたりが凄い。
この作品をきららMAX以外で出来るのか?というと、おそらくですが答えは「できない」でしょう。このような作品を連載してる「まんがタイムきららMAX」という雑誌も評価されるべきだと思います。MAXはファンの間では「正統派な作品よりも異色な作品が中心」ということでお馴染みです。ただ、異色というのは一長一短です。出オチで終わるか、ファンの記憶に残るか。小奇麗で大したインパクトもなく終わってしまうよりも記憶に残る作品は幸せではないでしょうか。このサイトで行っている4コマオブザイヤーでも3年連続で「きららMAX」の作品が首位なことからもそれが分かります(自分のサイトの企画を引き合いに出すのはいかがなものかと思いますけど)。もちろん、『ひだまりスケッチ』のような正統派には正統派の素晴らしさがあり色物ではなかなか越えられない強さがありますが。


バカなだけじゃ終わらない
この作品はバカなだけの出オチ作品ではありません。バカな部分以外を支えている要素が素晴らしい。
現在4コマの大多数を占めている「日常4コマ」(特に萌え4コマ)と最も違うのは非常に構図が潤沢なことです。日常4コマはどうしても「会話」を中心にしているので、構成が単調で「動き」がないコマが続くのが現状です。この作品の場合は動きが半端ない。勢いだけに誤魔化されそうにもなりますが。
以前に「このインパクトキャラが凄い!!」という企画を描いたことがありますが、この4コマも例外じゃなくて誰一人として普通のキャラがいないのもインパクトがある所以。料理バカ、ポイズンクッキングの使い手のヤンキー暴走娘、大富豪・百合・変態と普通の要素ゼロの相棒…、お爺ちゃん、シーツマン…。ここまで極端なキャラ付もなかなかない。

女性キャラクターは可愛くエロく、男性キャラは気持ち悪かったりカッコ良かったりとFBCさんのイラスト力が素晴らしい。挿絵なんかも担当しているので、それに由来しているのでしょう。4コマ作家さんはキャラクターのパターンがそもそも少なかったりしますから、絵が上手いというのはそれだけで武器です。刑事の鍔山さんのカッコよさが半端ない。
ある種、女の子が可愛いからこそ「きらら4コマ」として成立してるのだろうな、と。これで絵が気持ち悪かったらトリコなり鉄鍋のジャン等々、チャンピオンREDで連載していそうな男臭い漫画になってしまうからね! ベタ褒めになってしまうのが気持ち悪いですが、やっぱり絵が上手くて構図が豊かなだけで読んでいて面白いんですよね。ま、たまーに、絵が上手いだけでなんも面白くない作品もありますけど。おっと、これはみんなには内緒だぜ!


一つ言うであれば、ストーリー4コマとしてこの作品に関しては「4コマ漫画はどの回からでも読める」という鉄の法則からはずれています。それに加え、絵があまりにも込み入ってることから「読みづらい」「分かりづらい」部類に入ると思います。キャラクター、キャラクターの関係性、LIFEとの関係性、キャラクターの性格、登場するキャラクター等々、「絵もそうだけど、ストーリーもよくわかんない…。」という印象で終わってしまう可能性が否定できません。今回の単行本はそういうリスクを回避する大切な一冊になるのではないかな、と。この表紙で一見さんがお手に取るかはさておき。一見さんがお手に取る表紙づくりの答えというのはなかなか難しいですが。あれだ、あれ。可愛い女の子とおっぱいだ。うわーい。

こういう4コマが増えると世の中面白いと思うんですけどね。キャラクターもみんなハチャメチャな割に破綻してないのも大きい。4コマって難しいもので些細なことでキャラクター的にマイナスな部分、ネタ的に苦手な部分なんてのが見えてくるのですけど、この作品はそのラインを越えないあたりも面白いです。それは個人の好みでありさじ加減でしかないですけど。
こんな作品書かれちゃうと、次のオリジナル作品はどうなるんだ、という部分で楽しみです。『もっかい!』『ねこのひたいであそぶ』みたいに一部の人のハートをつかんで離さない、そんな作品に今後もなっていく予感です。またMAX旋風起こしそうな予感がします。…私がそう思うと案外伸びなかったりするんだよなぁ。『アキタランド・ゴシック』も終了するみたいですし…。なーんてね☆


じゃー、また次回。できれば来週またきて再来週。